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陽のあたる君のとなりで

【陽のあたる君のとなりで】 準推薦
■制作者/陽のあたる君のとなりで製作委員会(DL
■容量/148MB

藤沢樹は高校2年生。親友の匂坂海と、毎日それなりに楽しい学園生活を送っていたが、代わり映えのない日々に、物足りなさも感じていた。そんな彼の前にある日現れる女性により、樹の日々は少しずつ変化を見せ始める。スタンダードな作りの正統派マルチエンド恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■恋の迷路は一方通行

この作品も、匿名掲示板発祥の企画です。起動するといきなりチャイムの音と共に「学園ものギャルゲーつくろうぜ!」のロゴ。その名の通り、実にストレートな作りの学園もの恋愛ノベルです。私が一番安心してプレイできるのは、実はこういうタイプの作品だったりします。学園もの恋愛というと、ちょっとファンタジー要素をまじえた展開をする作品も多いですが、この作品は奇跡だとかの要素は出て来ません。そういう意味でも、正統派の作りと言えましょう。

出だしは実に普通で、特に目をひくような要素はありません。主人公が目覚ましに起こされ、学校へ行って親友と会話する、というよくあるオープニングです。が、今作で特筆すべきは、友人である匂坂海というキャラクターです。全体に登場人物が少ない作品ですが、海の存在が実に物語を引き締めています。

また、この作品はいわゆる「カレンダー消化型」で、作中で過ごす期間は1ヶ月くらいです。しかし1日1日が短く、ほぼ1イベントで1日が進行するため、だれる事なく読み進められます。このテンポのよさに、友人である海とのやり取りが上手に絡み、とても楽しく読み進められる作品です。

ヒロインは3人。席替えで偶然隣になった同級生の秋月ましろ、屋上で出会ったちょっとミステリアスな先輩の日下なずみ、主人公を慕う元気な後輩の中原愛花の3人。よくあると言えばよくある組み合わせですが、ほどよく個性的で、3本のシナリオはそれぞれのキャラクターを生かした展開。リズミカルなテンポもあわせて、快適に読めます。特に、後輩である愛花シナリオは、友人の海も彼女と知り合いという事で、3人でのかけあいが楽しめます。また、愛花シナリオでは特に海が良い言動を見せます。

反面、他の2人のシナリオは、キャラクターが少ないため、ほぼ主人公とヒロインの2人で物語が進み、少々一本調子になっている感は否定できません。この作品は、1人のヒロインが登場したら他のヒロインは現れないため、特にそう感じるのかも知れません。特にましろシナリオの後半は、若干唐突のような……。しかし逆に1人のヒロインに的を絞った展開になるため、話がぶれずに一直線に進みます。長所と欠点を併せ持っていると言えましょう。

曲はどうやらオリジナルのようです。どの曲も場面に合っており、よくできています。1回クリアするとアルバムモード、コンプリート後にはミュージックモードが追加されます。アルバムモードはちょっと凝った作りで、こういう工夫を見ると感心させられます。

ただ、この作品は少し難易度が高かったりします。特定のイベント後に、恐らく好感度が一定に達していないと、バッドエンドに行ってしまうのですが、その判定が妙にシビアな気がします。選択肢後の反応で、好感を得たかそうでないかは割と分かりやすいと思うので、セーブしながら進めばそれほど苦労しないかも知れませんが、私は最初は全員バッドエンドでした(笑)。

シナリオですが、物語としてならなずみシナリオ、キャラのかけあいなら愛花シナリオ、ヒロインの可愛らしさならましろシナリオというところでしょうか。先ほども書いた通り、ごく序盤の選択肢で誰が登場するか決まるので、そういう意味での難しさはありません。全員のシナリオを読むと隠された事実が明らかに、なんて事はなく、完全に別のお話として楽しめるので、攻略順はお好みでどうぞ。一応、ましろ→なずみ→愛花という順番を推奨します。

システムは吉里吉里です。プレイ時間はコンプリートまで5時間くらいでしょうか(難易度のため、既読スキップで飛ばしまくる羽目になる時間が結構長いですが)。強烈な特徴はありませんが、キャラのやり取りが主体ながら、きちんと整った物語を楽しめる恋愛ノベルです。ちなみに「動作テスト版」と表示されますが、きちんと遊べますのでご安心を。

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