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RIDDLE -piece of memory-

【RIDDLE -piece of memory-】 準推薦
■制作者/mint wings(ダウンロード
■容量/134MB

魔女のリリィと使い魔のアッシュは、懐かしい町へ帰って来ていた。かつてリリィは恋人とともにこの町に住んでいたのだ。しかし、その家にいたのは、恋人と瓜二つの別人だった。はたしてリリィの恋人の行方はいかに? かなりの長編、ファンタジックな乙女向け恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■しかり、私はすぐに来る

レビューを初めてもうすぐ8年ですが、当初と今で明らかに変わった傾向があります。それが「アルファベットによるタイトルの作品が激減した」という事。「ゲーム」であるならば横文字のイメージをとる場合もあるでしょうし、「物語」としてなら、やはり日本語の方がストレートにイメージを伝えやすいせいがあるのかも知れません。久々に「全部アルファベット」タイトルの作品です。

この作品は、純粋に女性向け。いわゆる「乙女向け」ですね。しかし、絵柄が「乙女でございます」という感じではなく、ちょっとコミカルなラブコメ少女マンガという感じで、男性でも違和感ないと思います。主人公のリリィや、エリオットの娘であるコゼットも、可愛らしく良いコンビネーションを見せてくれます。

また、主な男性キャラクターは3人ですが、3人ともそれぞれに個性的。個性的な上、プレイヤーに対する嫌味もないので、気持ちよく読む事ができます。男性向け作品であろうと女性向け作品であろうと、これは大切な事です(ただし、エリオットだけは「それじゃ牧師は絶対つとまらんだろう」と思いましたけど(笑))。

さて、物語は近世ヨーロッパ風。主な舞台は教会。かなり変わっていますが、軽妙なキャラクターも助けて、すぐに物語世界に溶け込めます。序盤の、リリィ、エリオット、アッシュ、コゼットの、「凸凹カルテット」の噛み合わなさが、何とも微笑ましいです。

ただ、物語はかなり長いんですが(作者さんは5時間と書いてますが、ちょっと5時間では厳しい気がします)、長さを生かした展開とか伏線が、もう少し欲しかったように思います。例えば、リリィの境遇であるとか、リリィとアッシュの関係ですとか、掘り下げれば面白くなりそうな要素も多く、これらをメインシナリオにもっと絡めて、それを生かした伏線と展開を作れば、と思いました。長さの割には(長いからこそ?)、特に中盤までが少し単調に感じます。

それでいて後半ばたばたーっと来る上、それほど伏線が物を言う展開という訳ではないので、「長さが疲れるタイプ」の物語なのです。実は、中盤までも決してただ単調という訳ではなく、展開としては捻りを入れているんですが……。しかし「捻った結果、思わぬ方向に行った」ではなく、「捻って1回転したら、元の場所に戻って来た」的と言いますか(何だそのたとえは)。

それと、登場人物が牧師だったり、舞台が教会だったりするんですが、教会描写とか教会用語が、ちょっと……。「礼拝客」とか「礼拝に参列する」と言ってしまうと、教会ではなく何だか神社みたいです(汗)。ま、これは私がキリスト者であるからあえて指摘するだけで、普通の方なら気にならないとは思いますが……。ただ、異端云々の件は「ちょっと待て!」と思いました(笑)。

システムはNScripterで、よく作り込まれています。最近NScripterが妙に続きますね。が、1つ残念だったのは、テキストウィンドウの発言者表示に、いちいちウェイトがかかるのです。テキスト表示を高速にしても、このウェイトは変わりませんので、これがかなりストレスの元。かなり長い物語ですから、ここにワンポイントの配慮があれば、と思いました。

シナリオについて上でごちゃごちゃ書きましたが、恋愛ものとして見るとよく出来ています。個人的にはアッシュが好きですね(エリオットのバッドエンドも、実は結構好きですが)。使い魔としての彼の力がもうちょっと生きる展開が見てみたかった気もします。また、コゼットは脇を固める女性サブキャラとしては出色のキャラクターメイキングです。こういうのは、さすが女性作者さんならではの視点というところでしょうか。

プレイ時間は7時間くらい。選択肢は前半には全くないんですが、後半で登場します。選択肢が結果に直結するので、攻略は簡単。エリオット&アッシュに、それぞれグッドエンドとバッドエンドがあり、更におまけもあり。長編映画というより、コミックスをずっと読みふける、という感覚で読める作品です。

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