Welcome to NaGISA net

▲PREV ▼NEXT

勿忘草の夜

【勿忘草の夜】 ■制作者/じゅえる☆ぼっくす(ダウンロード
■容量/2.7MB

演劇部の新入生歓迎合宿に向かった演劇部部長の主人公の少女は、山道で道に迷ってしまう。後輩の少年と2人、合宿所になっている山奥の廃校へ何とか向かうが、そこで恐ろしい出来事に見舞われる事になる。コンパクトにまとめられたマルチエンドのホラーノベル。

ここが○

ここが×

■忘れないで、二人の夜

引き続き、「弟切草」とか「かまいたち」とか、そう言う系統のマルチエンドノベル。いや、既に書いた通り「かまいたち」はやった事ないんですけどね(弟切草はやりました)。要は、「夜の建物を舞台にした、恐怖系脱出ノベル」。まあ、純粋な小説を書くならともかく、ゲームにするならばやはりこれって扱いやすい題材なんでしょう。私としては、題材がありきたりだろうが、プレイして面白ければ全然問題なしです。

しかし、この手のノベルがやたら選択肢の組み合わせやらパラメータ分岐やらに凝りまくって、更には嫌になるほど長くて、「そんなんノーヒントでクリアできるか!」と叫びたくなる作品もある中、この「勿忘草の夜」は実にユーザーフレンドリー。まず全体にコンパクト。プレイ時間は1回20~30分程度じゃないでしょうか?

だからと言ってノベルとしての出来も適当と言う事は決してなく、丁寧なマルチエンド(全部で15種類)となっています。選択肢にも「ただ選ぶだけ」のような適当なものはほとんどないため、慎重に選択肢をたどって行けば、自力でトゥルーエンドにたどり着く事も決して難しくはありません。

難点は……。まずはお話が小さくまとまりすぎていると言うか、あまりに「ありゃ?」と言う間に終わってしまう印象。あと一山二山あっても良かった気がします。オチの付け方というか真相(少女の正体云々)も、何の伏線もないまま謎が解けるため、何と言うか「そりゃないだろ」な感じ。後輩の少年に関する真実に関しては、なかなか心が暖まるお話でしたが、ホラーの根本に関わる真相は、ちょっと安直に感じました(ま、ホラーものにそう論理的なオチを求めてもしょうがないという気がしなくもないですが)。

その他の面に目を向けると、ホラーの割りにそう怖いという訳ではないです。血が飛び出たり、スプラッターな画像が出る訳ではありませんし。しかし「音」の使いどころはなかなか上手く、特に叫び声には腰を抜かしそうになりました(笑)。夜ヘッドホンでいきなりあの声が流れたら、かなり心臓に悪いでしょう(笑)。夜プレイされる方はご注意を。

なお、主人公は女子高生と言う事で、いわゆる「乙女向け」のようなのを想像して恐れをなす方もいるかも知れませんが(笑)、別に女性向けの作品と言う訳ではなく、男性がプレイしても全く問題はありませんのでご安心を。むしろ男性にもお勧めの内容です。

プレイ時間も短く容量も小さく、分岐もそれほど意地悪ではなく、非常に丁寧に作られたノベルゲーム。「マルチエンドのデジタルノベルは好きだけど、長過ぎたり攻略が難しすぎるのはご勘弁」と言う方には、お勧めしたいと思います。手軽に「マルチエンドノベルの醍醐味」を味わえる佳作ですよ。

▲PREV ▼NEXT



(c) NaGISA net All rights reserved.
inserted by FC2 system