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悲願花

【悲願花】 準推薦
■制作者/PANDAPENGUINS(ダウンロード
■容量/13.4MB

久我山総太は高校2年生。夏休みを利用して、祖父の経営する山奥の病院へやって来ていた。環境の良い田舎で、大量に出された夏休みの宿題を片付けようと言うのだ。そこで出会う2人の女性入院患者、咲良と未頼。総太と咲良、未頼が紡ぐ、一夏の物語。(注・この作品は「十六歳以上推奨」です)

ここが○

ここが×

■寝ても覚めてもそこは病院

「病院四連作」の2作目は、「悲願花」。この作品は十六歳以上推奨となっていますので、ご注意を。とは言え、別にそんな過激な表現などが出て来る訳ではありません。私は基本的に、推奨年齢つきの作品は取り上げないんですが、この作品はお勧めできる内容の作品だと思ったので、取り上げました。

この作品は、舞台がずばり病院です。最初から最後まで病院。主人公が暮らしているのも病院。ですが、それほど専門的な描写があれこれ出て来る訳ではなく、普通の学園ものとそう変わらない雰囲気で読めます。全体的な作り込みは丁寧で、絵もなかなか綺麗です。ヒロインの2人も良いですが、個人的には主人公の祖父、久我山源三郎が気に入りました。こう言うスタンスのキャラが好きなんですよね(笑)。また、基本的なキャラクターメイキングも上手く、2人のヒロインを始めとするキャラは、個性的なんですが嫌味を感じさせません。立ち絵と合わせて、作品世界を上手く引き立てていると思います。

この作品は、綺麗な立ち絵や1枚絵が割と沢山あるのに、容量が割合コンパクトなのも好印象です。容量は、可能ならばやはり小さい方が良いに決まっていますから。ただ、NScripterを使用しているのに既読スキップがないのは、かなり気になります。この作品は選択肢でシナリオが5種類に分岐しますし、その攻略難易度も決して低いとは言えない事を考えると、なおの事既読スキップは欲しかったですね。一応、右クリックメニューで「選択肢までスキップ」はできますけど、NScripterはツールバーにスキップを持って来る作品が多いので、私はしばらくその存在に気付きませんでした(爆)。

さて、この作品も「病院もの」ですので、後半はかなり重いシナリオ展開となります。特に咲良シナリオは、前半のほのぼのぶりや能天気なキャラとのギャップが大きく、初めて真相を知ったら、人によっては「えっ!」と絶句してしまうかも知れません。どちらのヒロインにも「完全なハッピーエンド」が存在せず、またどちらのヒロインもやたらと重い物を背負いすぎているので、人によっては受け入れにくいかも知れません。とは言え、悲しい結末の中にも、どこかに救いが残るような終わり方ではあるので、「誰も救われず、プレイヤーが一人鬱になる」なんて事はないと思いますけどね。

また、咲良シナリオでは、結構主人公も男を見せてくれますが、未頼シナリオではかなり主人公の駄目っぷりが際立っています(苦笑)。まあここら辺りはシナリオとは直接関係ないとは言え、少しくらいは「みんな幸せになってめでたしめでたし」という終わり方も欲しかったですね。やたら悲劇ばっかり起こせば感動するってもんでもないし(苦笑)。

シナリオ自体は、展開バランスとボリューム設定が適切なため、描写過剰で流れが澱む事もなく、おおむねすっきり読めます。テキストもよく書けており、全体の完成度はかなり高いんじゃないでしょうか。音楽は素材。まあおなじみの曲が多いですが、使いどころは良好だと思います。

プレイ時間は、1回エンドにたどりつくまで1時間半というところでしょうか。確かに「とても後味が良い物語」とは言えませんが、どのシナリオも心に訴えかけるものを持っているといると思います。特に前半はキャラ同士のかけあいも楽しく、重めの内容が気になりさえしなければ、お勧めできる作品です。16歳未満の方は、16歳になってからプレイしましょう(笑)。

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