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時の振り子

【時の振り子】 ■制作者/T-NEKO工房(ダウンロード
■容量/29.8MB

高校生の天見翔は、ある日木から落ちて来た少女と出会う。見るからに天然系の彼女は、何と未来からやって来たアンドロイド。彼女は、世界を救う使命があるのだと言うが。かくして繰り返す三日間が幕を開ける。エンディング13種、いわゆる「ループもの」。少しSF風味があるどたばたラブコメディ。

ここが○

ここが×

■時の振り子を止めてごらん

これまた少々古めの作品。初出は2005年だそうですから、5年くらい前ですね。私は時たま、妙に古い作品を探したくなる事があるのです。この作品は、分類すればいわゆる「ループもの」です。ループものは、ちゃんと作れば物語としての面白さは保証付きですが、その分ちゃんと組むのが難しいと言えます。

この作品は、過去に登場したループものとは趣きが異なります。「ひとかた」は伝奇でしたし、「ちょこっとループ」は恋愛もの。この作品も恋愛ものではあるんですが、少々味付けはSFチックです。とは言えSF的な要素はあくまで味付けとして使われているだけなので、小難しい事が分からなくても、軽くプレイできます。未来に影響する大きな犯罪が計画されているため、それを阻止すべく未来からアンドロイドの刹那が送り込まれてきた、という出だし。掴みはOKです。

よくよく物語を見てみれば、裏取引だの細菌兵器だの戦争だの、重苦しい話であるはずなんですが、ヒロインである刹那や柚子、瑠璃とのほのぼのとしたやり取りで、全体の雰囲気は非常に明るくなっています。もっとシリアスな方向へ振るやり方もあったでしょうが、個人的には、この雰囲気作りは成功していると思います。

さて今作はループものであるので、最初からグッドエンドに到達できたりはしません。例えば、柚子のグッドエンドを見るには、柚子のノーマルエンド2種類を見る必要があります。そうすれば特定の箇所で新たな選択肢が現れ、グッドエンドへの道が開ける、という仕掛け。

ただ、ノーマルエンド回収時は繰り返しても別に展開が変わる訳ではないので、他のループものと比べると、若干プレイが作業的に感じられるきらいがあります。しかもノーマルは4つ見ないといけないので、それを4回繰り返す訳です。翔はともかく、刹那には記憶を残しておいて、それで展開が少しずつ進む、なんて感じだともっと良かったのですが。「ペンデュラム」という設定がもっと活用されていればな、と。主人公の翔、解決する時はループで得た記憶を利用して、一気に解決するし。

しかし、柚子編と瑠璃編のエンドが、刹那編のエンドで綺麗に1つに繋がる辺りは、上手い作りをしているなと思わされました。犯人の動機にもう少し説得力のある描写があり、後は刹那編の後半にもう少し緊張感があれば、なお良かったと思います。あそこ、主人公が全部記憶してる状態で進むので、緊張感薄いんですよね。しかも、作戦決行前日にパーティやったりしてるし(笑)。まあそれも込みでこの作品の雰囲気という事でしょうね。

エンディングは13種類です。刹那エンド、柚子エンド、瑠璃エンド、それにノーマルエンドが4つ、バッドエンドが6つ。ノーマルと言いつつ「これはどう見てもバッドエンドでは」という感じではありますが(汗)。そして難易度は若干ハードです。というのも、バッドエンドのうち「刹那バッドエンド」が2種類あるんですが、これの難易度が妙に高いのです。しかもこれを見ないと、刹那グッドエンドは見られません。それ以外はそれほど手こずらないとは思います。一応、各エンドの後にヒントが出ますが、どうしてもここで詰まった方は、「日向の窓辺」さんを見ていただければ、攻略が載ってます(何て他人任せな)。

プレイ時間はコンプリートまで4時間くらいではないかと思われます。システムは吉里吉里です。作品紹介だけ見ると、ハードな話にも見えますが、そんなにお固くもなく、軽妙なやり取りの中、終始ほのぼのと進むので(結構悲惨なエンドもあるんですけど)、気軽にプレイできると思いますよ。

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