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HAPPY SCHOOL

【HAPPY SCHOOL】 準推薦
■制作者/脳内天國(ダウンロード
■容量/16.2MB

高崎和人は高校2年生。幼なじみのバスケ少女、芳野遥はその日の朝も和人を起こしにわざわざ部屋までやってきた。堅物の眼鏡委員長の詩乃、破天荒な悪友の黒凪とともに、楽しい夏の学園生活の1ページが幕を開ける。キャラ同士のやり取りが実に軽妙で楽しく読める、長編学園ノベル。

ここが○

ここが×

■海のあなたの空青く、幸い住むと人の言う

この作品に限らず、学園恋愛ノベルの王道の書き出しは、やはり「幼なじみが朝起こしに来る」でしょう(笑)。たまたまこの作品と同じ時期に、もう1本の学園ものをプレイしましたが、出だしが全く一緒でした。まあ、私もそういう出だしの物語は書きましたしね(笑)。

しかし、この作品には不思議なキャラクターの魅力があります。普通そう言ったありがちな出だしだと、よほど何かひきつけるものがないと、なかなか先まで読み進もうという気にならないものですが、この作品はヒロインの詩乃や遥、友人の黒凪との軽妙なやり取りが実に面白く、些細な日常場面ですらも楽しく読めました。この手の学園ノベルでは、これは特筆すべき長所だと思います。冒頭で主人公を起こしに来る幼なじみの遥も、良い意味でからっとしていて、押し付けがましくないですし。

この作品は、本筋に関係のない些細なやり取りが実に楽しいです。黒凪の「電話で雑学質問」がお気に入り。妙に博学で、黒凪を突き放す主人公が面白い(笑)。あとは「校庭をひまわりで埋め尽くすには」とか。こういうちょっとしたネタを冗長にならず、楽しく描くのはかなり難しいものです。メインキャラ以外にも、個性豊かな教師陣も面白く、描写との相乗効果でぐいぐい展開を引っ張って行っています。個性的でありながら、キャラに嫌味がなく、また場面転換もテンポが良いです。雰囲気としては「ハッピーエンド」あたりと近いものを感じさせます(そう言えばタイトルも似てますね)。

ただ、反面シナリオとしての作りが緻密かというと、それはちょっと、と言わざるを得ません。ヒロインは3人なんですが、特にメインヒロインはその展開の重さに反して、伏線などがほとんど張られていないので、ラスト近くは読みながら「ええ!? こんな終盤で、そんな重大な事実をいきなり明かされても」と、ちょっと固まってしまいました(汗)。緻密に組み立てられた物語の全貌が少しずつ明らかになるというよりは、キャラクターの日常の中から、少しずつ思わぬ方向へ物語が転がって行くというタイプで、物語としてはこういう作りもありとは思いますが、この作りならもっとさらっと流した方が良かったとも感じます。

その意味では、遥や詩乃のシナリオは、王道学園ものという感じで普通に楽しめます。個人的には詩乃シナリオが好みですね。ただ詩乃シナリオでも、ラストでやっぱりいきなり過去の事実が明らかになり、「いきなりそんな事言われても」状態なんですが(笑)。そう凝ったものでなくても、前半で一つ二つ伏線を張るだけで、より物語の完成度が上がっていたと思います。

しかし、キャラクター同士のやり取りはとても楽しく、学園もの、またキャラクタードラマとしては非常にレベルが高いと思います。立ち絵や1枚絵が妙にばらつきが大きいので(遥とか詩乃はなかなか良い出来映えと思うのですが)、もしかしたら見た目で敬遠する人がいるかも知れません。しかし、学園ものがお好きなら、この作品は絶対楽しめる事を保証します。プレイしてみてください。

他に特徴的なのは、音楽。一部素材も使っていますが、多くはオリジナルみたいです。メロディが凄く良く出来ているとか、そういう訳じゃないのですが、その曲のセンスが妙にこの世界観にはまっていて、私は非常に気に入りました。委員長詩乃のテーマが妙に耳に残ります。必聴。

難点としては、ダウンロードしたそのままの状態では、バグがあるっぽく、エンディングの手前で絶対止まってしまうんですよね(汗)。作者さんの掲示板で、修正パッチがダウンロードできますので、パッチを当てておきましょう。あと、選択肢にくるとセーブが出来ないのが、ちょっと辛いかも知れません。重要な選択肢が来る前にセーブしておきましょう。

システムは吉里吉里です。エンディング数は多いですが、攻略自体は難しくありません。メインヒロインの寡黙少女だけちょっと難しいかもしれませんが、作者さんの掲示板に攻略が書いてあります。プレイ時間は6~7時間くらいで、かなり長い作品ですが、キャラクターの掛け合いで、長さを感じさせずに読めます。学園ものが好きならば是非お薦めです。

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