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アイの答え

【アイの答え】 ■制作者/ENTRANCE SOFT(ダウンロード
■容量/11.1MB

友人の竹田と昼休みに弁当を食べていた高校生の秋山昇は、次の時間の物理の課題を忘れている事に気付いた。慌てて課題をやり始めるがなかなか答えは出ない。それを遠くから見ていた同級生の七海みななが昇に近づいてきて……。まさに「ラブコメ」という言葉がぴったりの、短編恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■まさしく「ラブコメディ」

最近、どちらかと言えば長編作品のご紹介が多かった気もしますが、今回は短編恋愛ノベルのご紹介。正統派のラブコメと言っても、目指す方向は色々あるでしょうが、この作品は「コメディ要素のある恋愛もの」ではなく、「これぞラブコメ」と言いたいような、本物の(?)ラブコメディです。

短い作品なので、あまり内容について語る訳にも行きませんが、要は「告白もの」ですね(あるのかそんなジャンル)。最近だと「年末年始の恋愛模様」でしょうか。ただ、あの作品と今作では、同じ「告白もの」でも、雰囲気はあまりにも違います。「恋愛」要素にスポットライトを当てて作れば「年末年始の恋愛模様」になるんでしょうが、この作品は100%コメディ要素にスポットを当てて作られています。いや、もちろん恋愛ものとしてもちゃんと作られてますけど。

そのコメディ要素が、思わず笑ってしまうほど一本気で可愛らしいヒロインの言動と上手くマッチして、短編作品としてはとてもまとまった出来映えに仕上がっています。読者は物語の鍵というか、ネタには途中で早々に気付いてしまうでしょうが(もしかしたらタイトルで気付く人もいるかも(笑))、この作品の場合、気付いたところで物語を読む興が削がれたりしません。むしろ「どんな解決をするんだ?」と先を読み進めたくなります。

そして、ついたオチには思わず笑ってしまいました。さすがにそんな勘違いはありえないだろう、主人公よ、と思ったりもしましたが、適度におかしく、適度に恥ずかしく、そして適度に微笑ましい、ラブコメらしいオチが綺麗に決まっています。この長さの作品としては、(さほど大げさな起伏ではないですが)ちゃんと起伏があり、ラストへ持って行く「流れ」を形作っているシナリオメイキングは、上手いですね。

また、基本的には主人公である昇からの視点で物語が進みますが、時々ヒロインのみななの視点に切り替わります。この手の視点切り替えは、往々にしてあまり意味がない事が多いのですが、この作品の場合は効果的だったと思います。視点切り替えがあったからこそ、主人公視点だけだと少々強引とも思える勘違いに、物語の中での説得力を持たせる事に成功していましたし、唐突気味な展開を上手くカバーしていたと思います。

ただ、シナリオ自体は力技と言いますか、一発芸みたいな感じで、まるでコントみたいなノリになってしまっていますが(笑)、キャラクターとシナリオとのマッチングが良く、1本のシナリオとしてきちんと良い出来に仕上がっていたんじゃないかと思いました。

難点というほどではないのですが、選曲にもう一捻りが欲しかった気がします。もちろん、曲自体に問題がある訳じゃないんですけど、背景もおなじみで、曲もとてもおなじみなので、開始直後は、「フリーソフト制作過程」のシリーズが始まったのかと思いました(爆)。

プレイ時間は30分かからないくらいでしょう。短編らしい気軽さがあり、そしてきちんと物語としても引っ張りどころと盛り上がりどころがあり、プレイ時間以上に楽しめる作品だと思います。心情描写で読ませる本格的な恋愛ものもいいですが、こういう肩肘はらずに読めるラブコメも、楽しいものですよ。

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