■制作者/TONPY-MOON(ダウンロード)
■容量/27.0MB
高校生の主人公新堂瑞貴は、幼なじみの天草琉架、インテリ風委員長の西条慎一郎、熱血トラブルメーカーの夏川涼と、騒がしくも楽しい日々を送っていた。そして迫る文化祭へ向けて、瑞貴はある日生徒会室に呼び出しを受けた。さて、生徒会総代の目的は……? 後半意外な展開を見せる、学園コメディ。
つい最近、「幼なじみが朝起こしに来る」という出だしの「HAPPY SCHOOL」をご紹介しましたが、この作品の出だしも全く同じ。この作品も、初出は2006年5月ですから、4年近く前の作品です。
ただ、プレイして受ける印象は「HAPPY SCHOOL」とは随分違います。あちらは、デフォルメされたキャラクターが繰り広げるずれたキャラのやり取りが印象的な作品でしたが、こちらは同じ学園コメディでありながら、直線気味の突っ走ったキャラクターの繰り広げるどたばたを楽しむ作品。言ってみれば、正統派の少年漫画風恋愛ものと言えましょう。
この作品は、登場人物が少し多めです。そして、中盤までは会話文が少々というか、かなり冗長なところが散見されます。しかも「何だと!」「やるか!」みたいなやり取りが続き、更に発言者の名前がないので、時々誰が発言しているのか分かりにくくなる事もありました。
発言者の名前を書いた方が良いのかどうかは、作品のスタイルやシステムにもよると思うので、一概には言えませんが、この作品の場合は発言者の名前を明記していた方が、分かりやすかったのではないかと思います。立ち絵があるキャラクターはまだいいんですが、立ち絵がないキャラクターが入り交じってごたごた状態になると、正直何が何だか分からなくなる事もありました(汗)。また、前半は主人公達の会話と文化祭の準備に終始するので、少し退屈気味なところは否めません。
しかし、この作品の見所は後半です。前半は、ちょっと冗長気味の会話が続き、正直言うと何度か序盤で挫折してしまったのですが(汗)、後半の展開は面白いです。作戦を練って動く主人公達の描写も良いですし、アクションシーンも動きがあって読み応えがあります。最後の対決シーンも、緊迫感十分でした。
そして、その後半の勢いのままラストへ続く流れは、よく出来ているなと思います。恋愛ものとしての雰囲気は「サンダガ」に似ている感じですね。生徒会が舞台になりますし、後半の展開も少し似ているところがあります。「サンダガ」同様の、「学園アクションコメディ」という感じでしょうか。ただ、ヒロインも主人公も、恋愛感情を行動に出したりするタイプではないので、ちょっと恋愛面での展開は唐突かな、とも感じました。
難点と言いますか、時々テキストがウィンドウからはみ出してしまうんですよね。はみ出しても続きが読めればいいんですが、はみ出した分は読めずに、そのまま次の文章が表示されるという。最初は「えっ?」となりました。回想で読めますので、ほっと胸を撫で下ろしましたけど。
選択肢はなく、一本道です。個人的には、琉架シナリオがあれば、見てみたかった気がしますね。というか、途中までは完全に琉架がヒロインだと思ってましたので、後半の展開には一本取られました。「そっちか!」みたいな(笑)。音楽は、おなじみの素材が多いです。かなり聴き覚えのある曲が多いですが、エンディングはかなり変わった雰囲気の曲で、気に入りました。
システムは吉里吉里で、プレイ時間は4時間くらいでしょうか。調べてみると、同じ登場人物が登場する続編もあるようです。あのキャラクターたちが今度はどんな物語で活躍するのか、ちょっと興味ありますね。序盤はちょっと癖がある感じですが、序盤のノリが気に入れば、楽しくプレイできる事でしょう。