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東京ぐるぐる物語

【東京ぐるぐる物語】 ■制作者/山崎(ダウンロード
■容量/3.1MB

彼女に振られ、バイトをクビになり、自転車まで盗まれると、良いとこなしの大学生の主人公。わずかなお金とサイコロを手にして、気がつけば彼の足は山手線に向かっていた。東京駅からサイコロを振って山手線をぐるぐる回り、色んな女の子と出会う、お気軽な双六タイプの恋愛アドベンチャー。

ここが○

ここが×

■いつもより多く回っております

私が初めて東京へ行った時の話です。東京駅から池袋駅まで行こうと思い、山手線のホームまで行き、「すみません、池袋に行きたいんですが、上りと下りどっちに乗ればいいですか?」と尋ねてしまいました(笑)。環状線というのはバスならともかく、鉄道では田舎者には縁がないものです。その「ぐるぐる回る山手線」をモチーフに作られた、恋愛アドベンチャーがこの作品。

この作品はかなり古く、初出は2001年ではなかったかと思います。当時はコミックメーカー製でした。独特の気軽な面白さがあるものの、コミックメーカーでプレイするのは若干辛い作品でした(繰り返しプレイが前提の作品ですし、それ以前に同じ駅をぐるぐる回る訳ですから)。その後公開が停止されていましたが、この度吉里吉里にてリメイクされて再公開されました。

通常の恋愛ノベル/アドベンチャーと違い、このゲームは双六形式です。プレイヤーはサイコロを振って出た目の数だけ山手線の駅を進み、駅に応じてイベントが発生。駅によっては女の子との出会いもあるかも知れません。そうして同じ女の子と何度か出会えば物語も進行して行きます。また、舞台が山手線だけに、ぐるぐる回り続ける事になります。

この作品、実は「おためし、かのじょ」の作者さんによる作品です。多分こちらの方が先に作られた作品でしょうが、RPG風の演出を取り入れていた「おためし、かのじょ」同様、環状線を舞台に双六形式を取り入れた意欲的な、ちょっと遊び心のある試みにより、単なる短編に終わらない、印象的な作品になっています。

このゲームはお手軽です。何せプレイヤーがやる事と言えば、サイコロを振る(あとは時々選択肢を選ぶ)だけ。それでいて、ヒロインは多彩。高校生の時の同級生あり、人妻あり、クォーターの留学生あり、高校生あり。短編ですので物語は短いですが、山手線内という舞台の制限を感じさせない多彩な物語が読めます。特に高校の時の同級生米倉マキのシナリオは、ノスタルジーも感じさせ、良い出来映えです。

ただ、サイコロを振るだけで完全に運任せですので、お手軽な反面特に後半は単調です。どこの駅でも背景は変わりませんし。もっとも、それが山手線らしいと言えば言えるかも知れません。この作品は「旅ゲー」ではありませんし、ある意味この単調さは山手線らしさを演出しているとも言えそうです。

それでも、双六らしいイベントがもう少しあれば、もう少しやり込みの楽しさもあったのではないかと思います。同じ駅なら、何度訪れてもメッセージが同じなんですよね。この作品は、1回読んで終わりというタイプの作品ではありませんし。それに、攻略キャラクターによっては登場が遅くて、後半がどうしても冗長になるきらいがあります。ここにもう一捻りあれば、より良かったのではないかと思います。あるイベントを経験したら、突然反対回りを始めるとか(ウノか!(笑))。

クリア後は、クリアしたキャラクターのプロフィールを見られたり、イベントを回想したりする事ができ、これは親切です。プレイ時間はワンプレイ20分程度(キャラによってはもっと短いかも)。吉里吉里ですので、ある程度の駅を回った後半では「次の選択肢まで進む」を使えば、超高速でぐるぐるできます(笑)。気負わず気軽に山手線周遊と、女の子達との出会いを楽しんでください。

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