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まほしあ~魔法で得る幸せ~

【まほしあ~魔法で得る幸せ~】 ■制作者/President Room(ダウンロード
■容量/84.4MB

萩野谷和輝は、魔法使いを育成する魔法学園に潜入していた。ところがちょっとした事で追われる身に。体育館に逃げ込んだ和輝は、魔法陣を展開している幼女の姿を目にする。幼女に近づく和輝だったが。RPG風の魔法バトルを採用した、ちょっと変わった雰囲気の魔法生活ノベル。

ここが○

ここが×

■背伸びをしてFollw you

ノベルゲームで伝奇ものは多いですが、魔法ファンタジーって案外少ないですよね。ぱっと出てくるのは「マホウツカイ」くらいです。伝奇と同様に、素材としては作りやすい気がするんですが、やはり日本人のメンタリティには、伝奇の方がしっくり来るのかも知れません(やってる事は似ている気もしますが)。

この作品はしかし、「マホウツカイ」とはかなり雰囲気が違います。あちらは「学園もの風ファンタジー」でしたが、こちらは「ファンタジー風学園もの」。学園ものに、ちょっと味付けとして魔法の要素を入れてみましたという感じです。また、その世界観もさほど違和感なく読者に受け入れられるのではないかと思います。普通の学園ものの感覚で読めますからね(あんまり学園は舞台になってない気がするけど)。

この「読者に受け入れられる世界観」というのは難しく、世界観を事細かに理詰めで説明すれば納得できるかというと、そういうものでもありません。論理的には整合性がとれていなくても、「そういうものだ」と思わせられれば勝ちなのです。そういう意味で、この作品はその辺りの雰囲気を、上手く読者に提示できているのではないかと思いました。

また、途中にはファイナルファンタジーみたいな(?)、RPG風魔法バトルも入ります。これはなかなか良いアクセントになっていたと思います。ただし、勝ち負けは完全に運任せだったりします。バトルの直前では、必ずセーブしましょう。ま、難易度はそれほど高くないので、何度か挑戦すれば割と簡単に勝てると思います。これも、選択肢でパラメーターが上下したり、何らかの技を習得できるような仕掛けがあれば、面白かったかも知れません。

舞台が魔法学園だけあって、後半はそれなりにスケールの大きな話になっていきます。ただ、後半への持って行き方とか、重要な要素の明かされ方が、若干唐突な感があるため、少々後半では読み手が置いてけぼりになってしまうところは否定できません。展開自体は盛り上がるので、前半でもうちょっと後半に結実する伏線を丁寧に張っていれば、より後半の展開が生きたのではないかと思います。例えば、里沙の記憶とか、和輝が魔法学園に潜入する動機とか、あるいはまなほとダニエルの関係とかですね。そこらに、もう少し踏み込んだ描写が欲しかったです。テンポ良く読めるのは確かなのですが、テンポが良すぎて、後半の展開が真実味を欠く、とでも言いましょうか。

伏線は、キャラクターの発言に忍ばせておいたり、あるいはイベントとして起こしておいたり、パターンは色々でしょう。しかし、どちらにしてもやりすぎたらくどくなるのは、言うまでもない事です。そして、伏線としてベストなのは、「その時は何でもないと見過ごすのだが、後になってから意味があったと気付く」パターンだと思います。そういう伏線は、そう多数は必要ではありません。この作品は、尺をもう少し長くとって、1つはそういう伏線があれば、かなり印象の違う作品になったのではないかと。

ま、そこらは難しいところですよね。いくら「その時は何でもないと見過ごす」のが良いと言っても、「後になっても意味が分からない」のでは、話が難しくなるだけで無意味ですし(苦笑)。そこにこそ、作者さんのバランス感覚が最も反映される点で、だからこそシナリオ作りの難しさの1つは、その点にあると言えましょう。

システムはオリジナルっぽいですが、軽快に動作します。ただ少し不安定な感じがします。マウスとキーボードを混ぜて使っていると、突然エラーが出て止まったりするのです。マウスだけで操作する方が無難でしょう。そうなると、既読スキップがないのが、少々惜しい感じです。

プレイ時間は1時間くらいです。魔法どうのこうのというと読む人を選びそうですが、どなたでも軽く読める作品だと思います。立ち絵もなかなか可愛く、ほのぼのムードで楽しめると思います。

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