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スターリーカラーズ~one for all, all for one~

【スターリーカラーズ~one for all, all for one~】 準推薦
■制作者/星団ファミリー(ダウンロード
■容量/262MB

平穏な日々を送る悠樹たちスターリーカラーズ。彼らの目の前に現れた謎の少女、カメリア。「こんなの私のシナリオにない」と焦る椿。そして迫り来る敵。挑む相手は世界のルール。悠樹たちは幸せな未来をつかみ取れるのか。大ボリュームでお送りする、シリーズ完結編。

ここが○

ここが×

■みんなは一人のために

スターリーカラーズシリーズの完結編。前作の終わり方は、何と言うか打ち切り少年マンガみたいな感じで少々消化不良気味(というか、新キャラ出して終わりって(汗))でしたが、今回はその謎の少女、カメリアがスターリーカラーズの目の前に現れるところから始まります。

とは言えこのカメリアの正体は、前作を読んでいればすぐに分かるでしょう。彼女の正体を明かさずにシナリオを組む方法もあったでしょうが、あえて明かして作っているのでしょう。ただでさえ少々謎などが多い作品ですから、あえてカメリアの正体は明かした状態で展開し、どんなオチに着地するのかに読み手の意識を集中させた今作の作りは、私は正解だったと思います。カメリアの特殊能力「時渡り」にも、そうする事で違和感がなくなっていますしね。

そのカメリアの「時渡り」と、前作まででおなじみの椿の「未来視」が、上手く絡み合い、とても面白い物語になっていると思います。特にラストでこの2人の能力が非常に上手い具合に一点で結ばれている辺りは圧巻と言えましょう。

その他、完結編だけあってこの作品は、ストーリーの随所に非常に力が入っています。悪役であるハルモニアの事であったり、葵と正志と椿の関係だったり、いろんなキャラが美味しい活躍をする後半だったり(「ここでお前が出てくるか!」と嬉しくなったほど)、とにかく見所盛りだくさん。特にラストバトルの熱さは過去に類を見ないほどで、あまりに盛り上がりすぎてくどく感じるほどです(?)。

その「盛り上がりすぎてくどく感じる」というのが、逆に言えば気になる点でもあります。同じ事柄をとにかくこれでもか、これでもかと油絵の具の上塗りをするかのように描写するというのが、恐らくこの作者さんの作風だと思われます。だからこそラストの感動があるとも言えますが、かなりの長さのシナリオもあいまって「もうそろそろ進んでいいんじゃない」と思う場面もいくつかありました。

そこを、前々作はたたみかけるようなイベントの連続でしのいでおり、前作はひっぱりすぎて前半がだれてしまった(&読んでて辛くなってしまった)のですが、今作は一部冗長に感じられるところがありながらも、ラストの熱い展開で帳消しかな、という気もします。特にラストバトルの解決法が見事です。そのために仕込んでおいた伏線、それに上でも書いたカメリアと椿の能力が見事に結びつく辺りは、唸らされました。エピソードと場面と伏線が非常にバランスよく組み合わさっており、展開の1つ1つに非常に説得力があるのです。ラストに関しては、今までの作品の中でも秀逸です。ただやはり、個人的には、前作と今作を合わせて1本分、くらいの長さがちょうどいいんじゃないかなと感じました。

さて、前作で「悪役が魅力的とは言いがたい」と書きましたが、親玉格のハルモニアに関しては「なるほど」と思わせるエピソードが盛り込まれています。ただ手下の3人に関してはやはりちょっと薄いです。あれだけ圧倒的な力を持ち、言動も何だか個性的な悪役には、読み手が感情移入できるようなワンポイントが欲しかったように思います。デネブたち3人の行動原理でもいいし、背景でもいいから、どこかに読み手と繋がりが欲しかったんですよね。それがないので、あの3人を倒すシーンがちょっと淡々と進んでしまった感があります(もっと盛り上がってもいいはずなのに)。

今回はシリーズでは初めて「選択肢」がついています。が、難易度は高くないので心配ありません。今作だけ読んだのでは意味不明ですし、ものすごく長い(5~6時間)ですが、とにかく熱いラストと全てを納得させるパワーのあるシナリオは、味わう価値が十二分にあると思います。システムは変わらずLive Maker。渾身の一作です。じっくりどうぞ。

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