麻婆豆腐を作るゲーム
■制作者／米男（ダウンロード）
■容量／4.36MB
母親から電話があり、今夜は外泊する事になったという。料理が得意な姉も不在で、主人公は妹のちはやと麻婆豆腐作りに挑戦する事になる。テーブルに並ぶ食材、調味料。果たして兄妹は美味しい麻婆豆腐にありつけるのか？ 妙なところが凝っている料理ノベル。
ここが○
- 選択肢に対する反応が豊富。
- 意外と凝ったビジュアルや演出。
- 麻婆豆腐の作り方を覚えられる（？）。
ここが×
- 物語的な面白さはほとんどない。
- BGMに一工夫が欲しい。
- 麻婆豆腐を作るだけなので、ある意味単調。
■２人でお気楽クッキング
お気楽にプレイできる作品をまたもご紹介。今回はまたタイトルそのまんまなゲームです。「麻婆豆腐を作るゲーム」。ああ分かりやすい（笑）。しかし、「Oh! 威信慕」みたいなナンセンスものかと思いきや、これが意外ときちんと作られた正当派のノベルゲームなのです。
内容の説明と言っても、「材料を選んで麻婆豆腐を作るだけ」です。それ以上でもそれ以下でもありません。別に感動的な展開はしませんし、後半で意外な事実が明らかになったりはしません（当たり前だ）。しかし、この作品は選択肢に対する反応が豊富で、ただ単に麻婆豆腐を作るだけなのに、案外楽しめたりするのです。
例えば食材を選択する時もそうですし、調味料でヨーグルトを選んだりすると、出来上がりがちゃんと白っぽい麻婆豆腐になったりします。ちゃんとした材料をきちんとした順番で入れれば、誰でも美味しい麻婆豆腐が作れますが、そうではない「怪しい麻婆豆腐」になってしまっても、主人公たちの反応でかなり楽しめます。
食材や調味料には、豆板醤などのいかにもなものから、ヨーグルト、ケチャップ、酢みたいな、「これを麻婆豆腐に入れるのはどうなのよ？！」というものまで、多数。完成したら主人公たちが色々と感想を言ってくれますし、エンディングではできあがりに対して、「麻婆豆腐らしさ」と「美味しさ」について点数と一言コメントがつきますから、意図的にめちゃくちゃな材料を入れて、反応を見るだけでも楽しめるでしょう。
ちなみに、「麻婆豆腐の作り方なんて知らん！」という方のために、ちゃんとレシピがついていますのでご安心あれ。私はレシピの存在に気付かず、Wikipediaで作り方を調べてしまいましたけど。なお、材料を何も入れず調理を終了しようとすると、「豆腐がない麻婆豆腐って何なんだ」的なやり取りが入り、勝手に豆腐が投入されます。もはやそれは麻婆豆腐ではなく、ただの湯豆腐ではないかという気もしますが（笑）。
BGMはクラシックの定番のピアノ版がずっと流れ続けます。料理番組っぽくてこれはこれでいいかな、とも思いますが、もう一工夫あれば、とも思いました。グラフィックスは、麻婆豆腐の出来上がりや妹ちはやの立ち絵など、何だか妙に凝っているのが、作者さんの意気込みを感じてしまいます。ちはやの立ち絵はエプロン姿ですが、これが非常に可愛らしく、この立ち絵を見るためだけでもプレイする価値があります。
物語性は皆無ですし、お笑い要素がある訳ではありません（主人公とちはやのずれたやり取りが笑えるとか、そういうのはありますが）。そういう作品を期待してプレイすると、「あれっ？」と思ってしまうかも知れません。しかし、大作や感動作の合間にプレイすると、その反応の豊かさ、キャラクターのかけあいの面白さも相まって、意外とはまってしまいますよ。
プレイ時間は１回10分。ツールはLive Makerです。こう言った小品を気軽に楽しめてしまうのも、フリーのノベルゲームならではと言えるのではないでしょうか。ただし、この作品をプレイしたからと言って、麻婆豆腐が実際に作れるようになるかどうかは、定かではありませんが（笑）。