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おみコン!

【おみコン!】 準推薦
■制作者/ENTRANCE SOFT(ダウンロード
■容量/127MB

宮下圭吾は、今日から高校生。入学式当日、部活勧誘で瀬戸千晶という女生徒に、何故か漫才の相方に誘われる。更に正門前には、血が繋がらない妹の由菜が待っていた。由菜との帰宅途中、突然意識を失った圭吾が目覚めた時、そこは病室だった。スピーディな会話のノリが楽しい恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■紅茶マスターにおまかせ

随分間が空いてしまいましたが、別にノベルゲームをプレイしていなかった訳ではないのです。ちょこちょこプレイはしていましたが、なかなかレビューを書くまでには至らずでして。そんな中、何とも分類が難しい作品の登場です。舞台は終始病院の中(?)なんですが、どう見ても病院ものとは呼べません。主人公は高校生ですが、学園ものでもありません。不思議な恋愛ノベル「おみコン!」です。あえて分類すれば、「お見舞いノベル」でしょうか(何それ)。「アイの答え」という作品の作者さんによる作品です。

舞台は終始病室の中と書きましたが、とにかくどこからどう見ても、いわゆる「病院もの」ではありません。一応医者も出て来ますが、全然医者っぽくありません(笑)。会話のノリは、バラエティ番組のようなテンポの良さで、中盤まではとにかくシナリオの流れもほとんどなく、ただ毎日登場キャラとの会話を楽しむだけ、という感じです。

この漫才風の会話ですが、主人公である圭吾のツッコミが絶妙で、スピード感もあって楽しめます。時折ネタがマニアックすぎてついていけない事もありましたし、何せ中盤までは事件らしい事件もあまり起こらないので、正直物語としては退屈なんですが、この会話だけでも楽しめると思います。

そして物語は、後半で思わぬ展開を見せます。ただ、この物語は、巧妙に伏線を張っていて謎が解けるというタイプではありません。なのでちょっと唐突感を感じます。いや、伏線は張られてはいるんですが、張られ方が少し緩いので、明かされる事実に説得力が欠ける感があります。

例えば、伊織のラブレターイベントにしろ、凛の伝説のアイテムイベントにしろ、1つの1つのイベントにもう少し流れと起伏を盛り込み、更にはそれぞれにイベントが後に何か続けば、印象がかなり違ったと思います。各イベントが脈絡なくぽんぽんと放り込まれているような印象を受けるんですよね。全体としては決して流れのない物語ではないですし、そこに一工夫があれば、後半がより盛り上がった気がします。

主な登場キャラクターは血が繋がらない妹で、わがままお嬢様の由菜、由菜のメイドである伊織、魔法少女風の後輩凛、主治医の希沙、そして一番最初に絡む千晶です。しかしこの千晶が、後半くらいまでは完全に忘れられており、更にラストの扱いもイマイチなのがちょっと残念。位置づけとしてはかなりの重要キャラなんですが。登場キャラが全員主人公に好意を持ってしまったりするので、そこらのバランスがもうちょっと上手く調整できれば良かった感じです。

しかし、ある意味かなりぶっとんでいるキャラクター陣ですが、不思議な事に嫌味を感じません。個性と個性がぶつかりあいつつ、独特のハーモニーを奏でていると言いますか。少なくとも不協和音にはなっていませんし、テンポのよい会話も手伝って、キャラクター同士のやり取りは非常に素晴らしいものを感じます。

ラストの展開ですが、ある意味お約束と言えばお約束です。しかし、お約束だからこそ「お約束な盛り上げ方」「お約束な落ち着き方」があれば、と思いました。この作品は、終始独特のコメディタッチの描写で進みますが、そのコメディタッチを少しゆるめてメリハリをつければ、シーンが際立ったのでは。

なんだかんだ言いましたが、女性キャラクターしか出て来ないのに、そのキャラクター同士のやり取りだけで読ませてしまう作品です。それと、エンディングのスタッフロールが斬新で、感心しました。プレイ時間は3時間くらいで選択肢はなし。ツールは吉里吉里。「会話が楽しいコメディノベル」をお探しの方、お勧めです。

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