MARTH
■製作者／あんでぃわーくす（ダウンロード）
■容量／14.2MB
平凡な日常を送っていた高校生の主人公、土田正直はある日父親に行きつけの喫茶店へと呼び出される。「宇宙人の存在を信じるか？」と突拍子もない事を言われる。なんと自分たちは遠い昔火星からやってきたのだと。なかなかのボリュームがある、ライトで地味なSFノベル。
ここが○
- ボリュームはまずまず。
- お手軽でそこそこに整ったSF風シナリオ。
- 登場キャラたくさん。
ここが×
- 主人公のしゃべり方は癖が強いかも。
- 登場キャラは多いけど、多すぎる嫌いあり。
- アクションなどを期待すると肩すかしを食らう、淡白なシナリオ。
■MARS+EARTH=?
またもSFです。やっぱり気軽に書けるって事でしょうか。この作品は、選択肢はありますがエンディングは１つで一本道。通してやっても２時間ほどでしょうか。それなりに事件が起こってそれなりに起承転結もありますが、ちょっと地味な感じのSFノベルです。
まず目につくのが、主人公のちょっと変てこなしゃべり方。「～ではないか」ってのが口癖で、その他にもちょっと変。気になる人は気になるかも知れません。また、登場キャラクターがやけに多いです。その全てに立ち絵があるのはなかなか凄いですが、多すぎて私は全然把握しきれませんでした（汗）。正直、もっと絞り込んでも良かったように思えますが。なお、立ち絵のレベルは、キャラによってちょっとばらつきがありますが、悪くないと思います。
で、シナリオですが、１億５千万年前に火星から地球に移り住んで来た「MARTH」と、彼らと対立する地球人のグループ「UE」の物語…と書くと、えらく壮大なSFアクションが展開しそうですが、あまり壮大ではありません（笑）。それなりの起伏は付いてますが、非常に地味なお話。敵のアジトに乗り込んでも、データディスクを壊してくるだけ（笑）。
そして、ラストも地味に決着。決して「何でもない日常がだらだら流れる」話ではなく、お話自体が悪いわけではないんですが、振幅に乏しくて盛り上がりに欠ける印象。とっかかりは悪くないだけに、ちょっと肩すかしを食らった気分です。
それから、登場するいささか突飛な設定に、ちょっと説得力が欠ける点も気になりました。同様のSFでも「遠来」は、その辺りに十分説得力のある描写があったんですが、突飛な設定が登場し、それを読んでる方が納得できないまま、その設定がシナリオの中では何ら問題なく受け入れられて話が進むため、読む方はおいてけぼり状態。というか、根本の「MARTHとUEが対立する理由」がまったく描かれてないため、出だしでまず説得力を失っています。この辺りの設定は、もうちょっと細やかに描写して欲しかったところです。
音楽はフリー素材です。使いどころは結構上々で、雰囲気出してます。背景はほとんどが自作ですが、結構頑張ってると思います。本屋が図書館のように広いなんてところもありますが（笑）、自作背景にしては上出来です。
色々書きましたが、SF好きならプレイしても損はしないのではないでしょうか。平均点的な作品なので、欲を言えば突出した何かが欲しかったところですが、お話自体は決して悪くありません。