Welcome to NaGISA net

▲PREV ▼NEXT

June Bride

【June Bride】 準推薦
■製作者/Makishi(ダウンロード
■容量/2.8MB

うだつのあがらないサラリーマンである主人公は、友人の結婚式に出席するためにはるばる名古屋までやってきた。その帰途の山道で偶然憧れのアイドル歌手と出会い、ひょんな事からロケ地の洋館へ同行する事になる。エンディング32種類の洋館脱出型ホラーノベル。

ここが○

ここが×

■プライベート・アイドル

いわゆる「洋館脱出型ホラーノベル」と言うと、真っ先に思いつくのが「1999 Christmas Eve」です。大変評価の高い名作ですが、諸々の事情で私はあまり高く評価しておりませんので、レビューで取り上げる予定はありません。まあベストエンド見てないしね(笑)。

で、その「1999」に影響を受けたらしい作者さんが作ったノベルがこの作品です。どの辺りにその影響が見られるか、それはやってみれば一目瞭然。まず構成が同じ。エンディングリストの表示方法も同じ。時間制限式入力パターンも同じ。そして全8章構成であるところも同じ(笑)。「じゃあパクリじゃん」って声も上がりそうですが、これが案外と丁寧に作られた良作なのです。

パターンとしては、ありがちな洋館脱出タイプのホラーノベルです。ただ、ホラーと言う割には「1999」に比べるとそう怖くありません。と言うのも、音回りが「1999」に比べるとかなり弱いのです。「1999」は、曲からしてまず怖かったし、効果音とかジングルが更に恐怖心を煽ってました。お経なんて夢に出そうだし、狂ったように鳴る教会のオルガンとか、とにかく音の演出が上手かったのです。

対するジューンブライドは、その辺りは弱いと言わざるを得ません。全体に演出は本家に比べると少し弱い感じです。テキストも丁寧に書かれてはいるのですが、もっともっと恐怖心を煽っても良かったように思えます。

エンディングは32種類と大変豊富でやり込む意欲を刺激します。が、最初の選択肢でいきなり終了したり、特に前半は「あまり意味があると思えない一発死エンド」が多いのが気になりました。まあ前半からあまり複雑な条件で分岐されても、難易度が上がるばっかりで考えものですが(笑)。そして後半のエンディングは、結構複雑に仕組まれている感じです。難易度はそう高くはなく、自力でベストエンド到達もそう難しくはないでしょう。

で、最大の問題なんですが「クリアしても明らかにならない謎が存在する」と言うのはかなりいただけません。謎の外人の正体とか、地下室の女性とか、マネージャーの行方とか、「結局あれは何だったんだ」な感じですから(苦笑)。それでも、ベストエンドはなかなか爽やかで読後感も良いですし、気にしない方が良いのかも知れませんが。ベストエンドは「June Bride」というタイトルに見事帰ってきますしね。

「1999」や、あるいは私が好きな「Crimson Ring」に比べると、シナリオの緻密さの点では劣りますが、緻密さよりシチュエーションとお手軽な分岐を楽しむと考えれば、十分楽しめる作品になっていると思います。欲を言えば、ベストエンドへ至る辺りはもうちょっと感動的に盛り上げる演出があれば良かったですね。容量も比較的小さいので、お気軽に楽しめると思います。

▲PREV ▼NEXT



(c) NaGISA net All rights reserved.
inserted by FC2 system