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続・シロタエギク

続・シロタエギク ■制作者/黒猫旅館(ダウンロード
■容量/104MB

大学生の林光太朗は、紆余曲折を経て無事現代へと戻って来た。しかし、かつての恋人里子は彼との記憶を失っており、心にぽっかり穴が開いたような気分がしてならない。そんな彼の前に、再び黒ずくめの少女フォスターが現れた。光太朗の不思議な旅がまた始まる。独特な展開の不思議系恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■少女はまた、時をかける

フリーのノベルゲームで続編ものというのは、滅多にあるものではありません。フリーだけに、作者さんが力尽きて続編が出ないまま、なんて事も珍しい事ではないのですが、今作は「続編を予告して謎を残しておいて、きちんと続編で解決した」という珍しい例です。「シロタエギク」の続編。タイトルもずばりストレートです。

前作は、特に後半ではなかなか面白い展開を見せたり、選択肢次第ではとんでもない展開(?)になってしまったり、荒削りながら魅力のある作品でした。が、オチがもの凄くとんでもなかったので、「ええええ!?」となってしまったので、続編が出たとなると、謎が解決したのかどうかが一番気になるところです。

さて今作ですが、前作の特徴そのままの続編となっております(笑)。何だか妙に荒っぽいところも共通。その荒っぽさが、逆に独特の面白さを生んでいるところも同じです。続編ですから、変な停滞感がなく、序盤からかなり早いテンポで物語が進んでいくため、そこはストレスなく読む事ができます。主人公光太朗が現代に戻って来て、ヒロインの里子と出会うところからスタートです。

今作を分類すれば、タイムパラドックスものという事になるでしょうか。そんなにSFめいた展開をする訳ではなく、タイムリープものならではの凝った展開をする訳ではありません。しかし後半では「なるほど、そういう事か」と思わせてくれますし、ラストの意外性はかなりのものです。ちょっと反則めいている気がしなくもないのですが(笑)。

ただ、展開とか設定がちょっと無理やり過ぎる感じがするところも、前作同様です。里子の先祖の話とか、「え、何じゃそれは!」と思いましたし。まあそれがこの作者さんの味と言えば言えるのかも知れませんけど、展開にしても、もう少し前半から伏線を上手いこと活用すれば、印象が違ったかも知れません。余談ですが、タイムスリップについてフォスターが語るシーンが、まんまドラえもんの第1話だったので、ちょっとずっこけてしまったのは内緒です。

もう1つ、一部のキャラの扱いが妙に中途半端なのも気になるところです。里子の母親が出て来る件も唐突感がある上、主人公が過去を言い当てる辺りも「おいおい待て待て、どこからその推理が来たんだ」という感じでしたし(汗)、里子に絡んでくる謎の男性も、「お前は一体誰だったんだ」という感じです。ま、そこらのちょっと荒っぽい展開も、このシリーズの味だと思ってしまえば、あまり気にならない気もするんですけど。

それと、立ち絵が素材のため、一部のシーンでは違和感がかなり凄い事になっています。特に同級生達のシーンでは、場面がシリアスなだけに気になりました。ま、メインキャラである里子と彼岸は絵柄が共通なので、これも慣れも問題と言えば慣れの問題かも知れません。

今回、前回では謎を出しただけだったフォスターというキャラが、かなり前面に出て活躍します。このフォスター、黒ずくめで銀髪という、どこかで見たような見た目です(笑)。彼女が物語に大きく関わって来ますし、謎の解決の鍵を握っている、なかなか魅力的なキャラクターです。ラストの意外性という点ではかなりのものがありますので、物語の長さとしてはそれほどでもないんですが、物語を読んだという充足感では、確かなものがあります。

展開が荒削りなのは否定できませんが、前作の謎は残らずきっちり解決しますし、前作のシーンに繋がるラストもなかなか上手いです。ただ前作をプレイしていないと、全然意味が分からないと思いますので、未プレイの方は前作からどうぞ。ツールはNScripterでプレイ時間は1時間ちょっと。選択肢はありますが、数が少なく難易度はゼロに近く、2本の違う話が楽しめるという趣き。フリーならではのパワーは前作譲り。細かい事を気にせず楽しみたい作品です。

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