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星のない空の下で

【星のない空の下で】 準推薦
■製作者/むきりょくかん(ダウンロード
■容量/17.5MB

幼い頃からずっと一緒だった親友が、美術室で何物かに殺された。犯人を絶対に許せない遥は、トラブルを避ける為「自殺」として処理しようとする学校側の妨害に負けずに、真相解明に乗り出した。高校が舞台の学園推理アドベンチャー。

ここが○

ここが×

■タイトルの意味、案外深いです

さて、今回は推理アドベンチャーです。推理ものは初めてかも知れません。更に何と使用ツールはRPGツクール。ちゃんと校内を移動して情報収集する場面もあり、なんだかファミコンディスクの「神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」をやっている気分になります(笑)。

推理ものとなると、「感動系」のようにシナリオだけで押し切る事は出来ませんし、「萌え系」のようにキャラに頼る事もできません。推理ものの鍵を握るのは、何を置いても「謎解きの面白さ」「トリックの巧妙さ」、更に付け加えるならば「人間関係の模様」でしょう。

このゲームには「考察」というシステムがあり、起こった事柄1つ1つに対し主人公遥なりの考察をします。考察は、移動画面ならばいつでも可能で、この考察がより真実に近ければ先に進める、というシステム。これはなかなか面白い作りです。読まされているのではなく自分が考えている気になれますし、事件の概要も把握しやすいというメリットがあります。欲を言えば、先に進む判定だけではなく、考察により言動や展開が変わる等あればもっと面白かったと思います。

また、情報収集はRPGツクールらしい移動画面で行うのですが、特定の部屋以外では重要なイベントは起こらないため、これはあまり重要性を感じませんでした。もっとも、この移動画面のおかげで学校らしさが出たとも言える訳で、これはこれでありかな、と思いますが。脇キャラのちょっとしたイベントなども面白かったですしね(獣医志望のヤンキーの話とか)。

で、肝心の謎解きですが、真犯人は割と簡単に分かると思います。ただ、謎は徐々に解けると言うより、最終日で一気に解ける感があるため、「謎解きの快感」はちょっと薄いかも。結局いわゆる「状況証拠」ばかりで、ちゃんとした証拠はほとんど手に入ってないし。中盤までにも何か「自分で謎を解いている」と言うような仕掛けがあればな、と。人間関係の描き方も少々希薄な気がしましたし、重要な手がかりが後半(解決1日前とか)に出たりするのはどうかと思いました。情報収集シーンの脇キャラに、もうちょっと「手がかり」をちりばめて欲しかったですね。中盤の猫イベントも、少々蛇足に感じました。あとは、ウェイトがかなり多い(しかも飛ばせない)のもマイナスポイントです。

と、推理ものとして見ればツッコミ所も結構あるんですが、反面心理描写等はとてもうまく、個人的にはかなり楽しめた一作でした。何と言うか、作品全体から「良い物を作ろう」という意気込みみたいなのが凄く感じられるんですよ。ツクールに由来するシステム面の不備を除けば、システムもかなりよく出来ています。作者さんはまだ大学生だそうなので、これは次回作にも多いに期待したいと思います。

本格推理を期待すると肩すかしを食らうかも知れませんが、ちょっとしたライト推理ものが好きな方にお勧めです。キャラ同士の掛け合いもいい味出してますよ。

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