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フラグメントオブメモリー

フラグメントオブメモリー 準推薦
■制作者/アクリャクーナ(DL/学園祭編麻衣編
■容量/84.1MB(学園祭編)、139MB(麻衣編)

高校生の主人公は、相手の心を読んだり、物に残された思念を感じる「シータッチ」という能力を持っている。ある日、同級生の麻衣が先輩からもらったハンドバッグをシータッチで調べたところ、数時間意識が吹っ飛んでしまった。一体バッグの秘密とは? 色んな要素山盛りの山あり谷あり恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■あなたの思いをシータッチ

年末年始は時間があるので、普段なかなか手を出せない長編作を読むのには最適です。この作品も結構な長丁場。「フラグメントオブメモリー」は「学園祭編」と「麻衣編」の2作品あるんですが、「学園祭編」だけだと意味不明ですし、「麻衣編」だけだと舞台の前提条件が分かりません。なので2作品一緒のレビュー。ま、「麻衣編」は設定説明を兼ねた予告編みたいな位置づけですね。

この作品は、初出は結構古いです。2006年くらいですね。なので、ウィンドウサイズは640x480ですし、音楽はMIDIですし、全体にちょっと古い感じがします。が、ところどころに動きを効果的に利用した演出などは全く古くささを感じさせません。なので、プレイしているうちにちょっと古い感じなどは、まったく気にならなくなります。

フラグメントオブメモリーこの物語の主人公は高校生(名前任意)ですが、人の心や品物に残された残留思念を読む「シータッチ」と言われる力を持っています。いわゆるサイコメトリーという奴ですね。「学園祭編」では、シータッチを使って学園祭で主人公が(無理やり)占いをさせられます。主人公の能力を説明しつつ、適度にドタバタ劇も入れて、導入としてはなかなか面白く仕上がっています。このシータッチを使うシーンは、サムネイルをクリックしてどの記憶を探るか選ぶのですが、これは良い演出ですね。

そして「麻衣編」では、ヒロインの麻衣が先輩からもらったハンドバッグに隠された謎を、主人公がシータッチを使って解明していくという、サスペンス風恋愛アクション(??)。「学園祭編」だけを見た状態だと、「こんな便利な能力があったら、そんな謎は簡単に解けるだろう」と思ってしまうんですが、さにあらず。「麻衣編」の冒頭で、シータッチを使った主人公はいきなり数時間記憶を失い、気がついたら街中の書店に立っているのです。

このように、序盤から様々な謎を色々な形で提示してくれる上、テンポよく色々なイベントが出て来て、それらのイベントでバランス良く謎が少しずつ解明し、また新たな謎が出て来るため、だれる事がありません。最近は、「序盤はただキャラクターがあれこれやり取りするだけ」みたいな作品が多いのですが、こういう緻密で計算され尽くした展開は、もっと見直されていいと思います。

そして後半。主人公が前半でシータッチを使うと記憶が飛んでしまう原因が判明するのですが、あまりのもの凄い超展開と、その超展開がブーメランのように前半の謎を埋めて行く様子にぶっ飛びました。よくもまあこんな展開、こんなシナリオを考えついたものです。とにかく、後半では謎が次々にドミノ倒しのごとく解決していくので、論理的にも爽快感があります。

ただ、その謎を構築する論理に、ちょっと難解なところがあり、また後半使用される特殊能力も、前提が難解なので、注意して読まないと「何のこっちゃ?」になる恐れがあります。ま、あまり細かい事を考えず、勢いで読んでも、十分そのジェットコースターのような起伏のシナリオは楽しめると思いますが。

この作品、「麻衣編」とある事から分かるように、登場する他の2人のヒロイン、要(この子がまた重要なキャラ)と夢香のシナリオも、当初は予定にあったようですが、結局麻衣だけの物語になってしまったようです。しかし、麻衣編だけでもかなりのボリュームがありますので、満足感は高いでしょう。恋愛要素も、物語に上手く取り入れられており、全体として完成度の高いシナリオに仕上がっています。

システムは吉里吉里です。エンディングは2種類ですが、難易度は高くないので心配ありません。プレイ時間は全部で4時間~5時間くらいでしょう。見た目ちょっと垢抜けないところもあるんですが、プレイして損のない大作だと思います。お試しあれ。

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