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雨恋のキセツ

雨恋のキセツ ■制作者/追及探偵事務所(ダウンロード
■容量/108MB

雨を神が宿ると言われる街、神宿。この街は1月の間ずっと雨が続いていた。そんな神宿の街で、記憶をなくした青年が立ち往生していた。美高という自称探偵助手に拾われた青年は、探偵である追求真美の事務所に居候する事に。続く雨と青年の記憶の秘密とは。雨が好きになるかも知れない短編ノベル。

ここが○

ここが×

■雨から始まる恋もある

このゲームは、readmeを読んでみれば分かるんですが、2chVIP発の作品です。「雨をテーマにしたギャルゲ作ろうぜ!」というスレッドで企画されたもののようです。2chっぽさは全然ないので、苦手な人でも安心ですが、ヒロイン全員にちょっとしたサービスショットがあるのが、さすがVIPの企画です(笑)。

舞台は、雨の神様が宿ると言われている、神宿という街(かみやど? しんじゅく?)。この街では5月頃から1ヶ月の間、ずっと雨が降りっぱなしなのです。その街で、記憶を失った主人公が、怪しい兄ちゃんに助けられ、その兄ちゃんが働いている探偵事務所に連れて行かれるところから、話が始まります。主人公がヒロインを拾って自分の家に連れて行く作品ならいくらでもありますが、逆のパターンは滅多にないでしょう(「拾われた夏のエデン」が、ちょっとそんな感じか)。

雨恋のキセツその探偵の名前が「追及真実(おいまた・まみ)」というのが笑ってしまいます。で、真美の事務所に住み込んだ主人公は、神社や図書館に通うなどして、止まない雨の秘密や、失った自分の記憶について調べる……というストーリーになりそうなんですが、どうもあんまりそういう感じでは進みません。主人公はヒロイン達と交流するだけで、積極的に雨や記憶の秘密を調べようとしないのです。

付け加えて、「雨を降らせる神様」「探偵事務所」という作品を主に支える2つの要素が、どうもミスマッチというか……。主人公が雨の事も記憶の事も、あんまり真面目に調べないのが、一層そういう印象に拍車をかけているのかも知れません。なので、読み手が物語に没入しにくいというか、感情移入しにくいように感じました。「雨の神様」と「失った記憶」と「探偵事務所」という、非常にまとまりのなさそうな要素ですから、そこを主人公が上手く繋いでくれれば良かったんですが……。

とは言え、主人公自体は決して読み手に不快感を与えるようなキャラクターではなく、むしろ受け入れられ易い性格ですから、そういう意味では読み進め易いと思います。また、3人のヒロインは個性的で、主人公とのやり取りも楽しめます。巫女さんと女子高生とスーツ姿だけど童顔の探偵。組み合わせが面白いですし、立ち絵や1枚絵も非常によく描けていると思います。

が、主なヒロインの2人、亜紀とれまのルートでは、降り続く雨の秘密は分からず、主人公の記憶も戻りません。その2人をクリアすると、メインルートに入れるんですが、このルートは最後に明かされる秘密が、どうにも唐突です。意外と言えば意外なんですが、あんまり気持ちのいい意外さじゃないというか……(汗)。いっそ、「実は主人公が○○だった」なら、あの伏線からでもありと思いますが……。

まあ、あまり深く考えずに単なる3人のヒロインの恋愛ものとして読んでも楽しめますから、細かい事は言いっこなし、かも知れません。上でも描いた通り、イベント1枚絵も豪華ですし、オリジナルのBGMがよく出来ていて、雨の雰囲気を高めてくれています。エンディングでは歌まで流れる大盤振る舞い。VIP発は、完成するまでが大変ですが、完成させるとさすがに質が高いですね。

ツールは吉里吉里。プレイ時間は1時間~1時間半くらいで、選択肢は3か所。選択肢はちょっと考えれば分かる程度の難易度なので、難しくないでしょう。分岐はラスト手前からで、マルチシナリオのボリュームはあまりないですが、お手軽に楽しめる作品です。

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