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FORTUNE

FORTUNE ■制作者/CLOSS(ダウンロード
■容量/14.4MB

符術士と呼ばれるレヴォンは、ある日失われた紋章を探す為に孤島へとやって来た。その島でレヴォンは、リンネという少女と出会う。その島にはレヴォンのライバルも来ているらしい。レヴォンは果たして紋章を手に入れる事はできるのか。そして紋章の秘密とは。レトロテイストのファンタジーノベル。

ここが○

ここが×

■赤の運命、蒼の幸運

私は最低でも、レビューが1本もない月というのは避けようとしているのですが、忙しかったり体調悪かったりで、毎回危なっかしい事になっています。今回はかなり古い作品を持って来てみました。初出は2003年で、NaGISA netは開設前。それどころか「ふりーむ!」の登録番号を見ても、ふりーむ開設間もない頃の作品だという事が分かります。

主人公は、魔法の力を込めた護符を使いこなす、符術士と呼ばれる一族の中でも、最高の力を持つ男、レヴォン。符術士は赤の一族と蒼の一族に分かれていて、争いが繰り広げられていて、レヴォンは蒼の符術士の守り手。なんだか設定が中二っぽい気がしなくもないですが(汗)、その辺りの設定はあまり気にしなくても読めますので、ライトノベル風ファンタジーがどうも苦手という人(例えば私とか)でも安心です。

FORTUNEこの作品は今から11年以上も前のものなので、今から見ると若干古さを感じるところがあるのは否めません。例えばBGMは全部MIDIですし、なんと分岐ありのノベルゲームなのにセーブ機能がありません。当然ながら読み返しや既読スキップもなし。ツールはかつてアリスソフトが使っていたSystem 39なのですが、これはツールの問題なのか何なのか。ま、ツール自体はしっかりしたものですが(恋愛シミュレーションツクール辺りと比べると、という意味)、プレイしにくいところがあるのは仕方のないところ。

さて物語は、レヴォンがリンネと出会って彼女の家で一緒に過ごす事になり(リンネの祖母であるグラニーが、かなり強烈なキャラ)、レヴォンは島で紋章を探すという事になります。ここら辺りはごたごたしたエピソードがなく、テンポよく話が進むので、読み心地もいいですね。紋章の秘密についても、「ほお、そう来たか」という感じで意外性もありますし、起承転結のそれぞれがバランスよくしっかり作ってあります。

ただ、赤の一族と青の一族とか、紋章の秘密とか、主人公やヒロインの過去とか、さらに加えて主人公とヒロインの恋愛模様とか、長さの割に盛り込んだものが多過ぎて、少し急ぎ気味に感じてしまいました。決して消化不良にはなっていないんですが、「もうちょっとゆっくり味わわせてくれよ」と感じます。

特に、紋章どうこうがシナリオのメインで、レヴォンとリンネの恋愛描写についてはほとんどない上、レヴォンとリンネが一緒に暮らしているのは、物語中の時間でたったの2日間なので、そういう目で見ると物足りなさを感じてしまいのが残念なところです。ライバルである赤の一族のダオも、存在こそ冒頭から出てますが、後半にいきなり登場するだけなので、唐突感があります。シナリオのテンポ感や作り自体は良かったので、もう少し長い尺で読んでみたかった物語ですね。

グラフィックスは、11年前のものという事を差し引いてもよく出来ていると思います。リンネのサービスショットもありです(笑)。音楽は全部MIDIですが、曲自体はよく出来ていてそれほど違和感はありません。ただ一部のシーンで、曲とシーンが少々アンバランスに感じられるところもありました。

分岐はあるんですが、先ほども書いたようにセーブがありません。一応、スペースキーで選択肢までの文章スキップ機能はあります。分岐と言ってもラストでハッピーエンドへ行けるかそうでないかの二択ですし、プレイした後で選択肢を振り返ると「あそこでああしておけば良かったのでは?」と薄々分かるような作りですので、頑張ってプレイしてみてください。

ラストはなかなか綺麗ですし、グラニーが実は……というのをほのめかす辺りにも、作りの上手さを感じました。プレイ時間は1時間半くらい。難易度自体は高くないのですが、セーブ&既読スキップなしなので、ハードルが少しだけ高いです。新しいものもいいですが、たまにはちょっとレトロ風味のファンタジー物語はいかが?

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