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8月の雨

【8月の雨】 ■制作者/Studio Februa(ダウンロード
■容量/2.80MB

主人公は、突然の雨に降られ、歩道橋の下で雨宿りをしていた。水しぶきを上げて走り去るトラック。そんな彼のそばに近づく人影があった。「トラック、嫌いなんですか?」。容量も非常に小さく、短編だがちゃんと分岐する、少し不思議な雰囲気の夏の1日のお話。

ここが○

ここが×

■トラック、嫌いなんですか?

今度も短編。短編も短編、超短編です。多分1回目のプレイは3分で終わります。3分で終わった上、「何だったんだ今のは?」となります。間違いなくなります。私が、1回目のプレイが終わった直後の感想が、それでしたから(笑)。でも、1回でやめてはいけません。何度も繰り返しましょう。短い上、選択肢の構成は非常にシンプルなので、繰り返せば誰でも真実に辿り着けます。

それにしても、2.80MBとは、最近のノベルゲームでは異例のコンパクトさです。数年前ならこのくらいの容量は珍しくなかったですが、最近は映像も音楽も豪華になり、ムービーまでついて、数十MBにもなる事も稀ではありません。個人的には、コンパクトで気軽に楽しめるこういう作品の存在は、貴重だと思っています。システムは吉里吉里。立ち絵もなく、作りはシンプルです。

さて、上に書いた通り、今作は少し変わったシナリオ分岐システムを取っています。多分2回プレイして、3回目で「おや?」となるでしょう。なかなか面白い仕掛けです。短編ながら、こういった作りに凝っている辺りは好感が持てます。また、クリア後にはおまけや後書きも読めたり、小品ですが作りはしっかりしています。紫陽花の花の画像をあしらったタイトル画面も、良いセンスだと思います。

この作品は、繰り返す事で謎が明らかになっていくんですが、人によっては途中でオチが読めてしまうかも知れません。というのも、既にレビューしたとある作品(あえて書きません)と同様のネタなんですが、そちらの作品は長編ですし、「まさか、そのネタはないだろう」と感じさせる作りだったので、ネタを明かされた時に結構驚いたのです。しかしこちらは、短編なので伏線に凝る事もできず、オチが明かされても、あまり意外性がなかったのは、ちょっと惜しいところです。

とは言え、文章は丁寧で読み易いですし、音楽の選択も良いと思います。クリアまでには複数回のプレイが必要ですが、まあ15分もあれば十分読み切れるでしょう。悲しいと言えば悲しいお話ですが、読後感も悪くないと思います。この作者さんが作られた、中編以上の長さの作品を、是非読んでみたいと思わされました。

既に書いたように、これだけ容量の小さなノベルゲームは最近では貴重になってきました。まあ小さければ良いというものでもありませんが、大容量の派手な作品だけでなく、こう言った地味な佳作にも、是非目を向けていただければと思います。ちょっと心安らぐ小品ノベル。ブロードバンドなら一瞬でダウンロードできます。時間の空いた時にでも気軽にプレイしてみてください。

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