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It's so flogging molly

【It's so flogging molly】 ■制作者/まつ(ダウンロード
■容量/6.74MB

主人公は、かつて通っていた小学校を訪れた。少子化の影響で廃校になり、取り壊される事が決まったのだ。校舎に入ると何故か女の子が。彼女にジャケットを取られた主人公は、居合わせた小学校時代の同級生の女性と、校舎の中で鬼ごっこを繰り広げる事に。ノスタルジー漂う現代短編ノベル。

ここが○

ここが×

■ノスタルジー漂う現代短編ノベル

選択肢なしの短編ノベルをご紹介します。プレイ後に気付いたんですが、この作品はあの「終末によせて」の作者さんによるものです。読んでいる時、「そう言えば、何となくあの作品に雰囲気似てるな」とは思いましたが……。「終末によせて」では、飾ったところがないながらも丁寧で読み易い文章が光りましたが、今作でも健在。読んでいて実に心地よいです。1行で済むところを5行も6行もかけて描写したり、キャラの心情描写に対して「それは今考えるべき事か?」とツッコミを入れたくなる作品も多い中、こういう作品の存在は嬉しいですね。

この作品、前作以上に短いです。10分もあれば終わるでしょう。そして、これまた前作以上に大きな事件は何も起こりません。意外なオチも何も付きません。なので「物語」を求める方には向かないと思います。人によっては、読み終わった後「何だこりゃ?」と思うでしょうから。

また、終わり方が唐突なんですよね。簡素極まりないエンディングクレジットが流れたかと思ったら、予告なくウィンドウが閉じて終了、という(笑)。良い雰囲気のお話なんですから、もうちょっと余韻のある終わり方だと、なお良かったんですが。

「良い雰囲気」と書きましたが、恐らく自作の音楽が、シンプルながら丁寧な筆致と相まって、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。音楽関係も地味ながら良い仕事してます。それにしても、「終末によせて」でも感じましたけど、この作者さんて、本当に「大げさな描写」をしない方ですよね。それが良い方向に出てると思います。

画面写真を見れば分かる通り、立ち絵もありません。上で書いた通り、選択肢もないので読むだけです。また、効果音もありません。演出も極めてシンプルの極みですが、そこが良いんでしょう。システムはADVRUN。かなり豪華な機能を装備したエンジンですが、豪華すぎて、NScripterなどに慣れているとちょっと操作し辛く感じました。文字の表示速度1つ変えるのも、「一体どうやるんだ」という感じで(笑)。というか、10分で終わる作品なんですから、あそこまで豪華でも使い様がない気がします(笑)。

現代で、リアル路線で、こう言った雰囲気は個人的に好きだったりします(大抵、どこか壊れたようなキャラクターが出て来る物語が多いですから……(爆))。容量も割合コンパクトですし、秋の夜長、ちょっと疲れた時に軽く10分だけ読んでみてはいかがでしょうか。「自信を持ってお勧め」できるタイプの作品ではありませんが、ほっと心が休まるような、そんな一作です。

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