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君の息吹を

【君の息吹を】 ■制作者/Real in the Game(ダウンロード
■容量/168MB

大学生の主人公は、街中でふと気付いた時には、記憶の一部を失ってしまっていた。混乱する彼に、追い打ちをかけるように見知らぬ女性が言い放つ。「あなた、死んだのよ」。幽霊となった主人公が織りなす、波瀾万丈の恋愛ストーリー。

ここが○

ここが×

■あなたはしにました

上の紹介を見て、「幽霊となった主人公」というだけで、ぴんと来た方もいらっしゃるでしょう。この作品の導入部分は、名作「ゆうとっぷ」とほとんど同じです。導入が同じだけでなく、展開もかなり似通っています。とは言え、似ているだけで、特に響シナリオなどは全然違う物語になっています。ただ、「ゆうとっぷ」をプレイされた方がこの作品をプレイされると、ある意味がっかりするかも知れません。シナリオの緻密さ、キャラクターメイキングの巧みさなどでは、やはり「ゆうとっぷ」に軍配があがると言わざるを得ません。

ですが、この作品には、これはこれでなかなか捨て難い魅力を持っています。私も最初はすぐに「ゆうとっぷ」を思い出し、1つ目のエンディングを見た時点ではレビューで取り上げるつもりもなかったんですが、なぜか8つのエンディングを全部見てしまい、こうしてレビューに取り上げてる訳ですから。

この作品のメインヒロインは零という少女なんですが(主人公のデフォルトネームは「悠」。「悠」と「零」……分かり易すぎる(笑))、零シナリオの作りは、正直言ってちょっと荒っぽい感じ。目指す方向は悪くないと思いますから、もうちょっと伏線を緻密に張って欲しかったところです。

ですが、この作品の真価は、実は1回クリアしてから発揮される事になります。零シナリオでは単なる狂言回し的存在だった響。2周目以降はその響のシナリオに入れるようになるんですが、色んな意味で凄いというか、とんでもないです(笑)。感心しました。この響シナリオがなかったら、多分レビューを書こうとは思わなかったでしょう。

とにかく、零シナリオのちょっとほのぼのしているムードから一辺。かなり殺伐とした展開になります。大げさな表現ですが、少々サスペンスじみた展開です。響シナリオのエンディングは5つありますが、どれも必見です。シナリオの作り自体はやっぱりかなり荒っぽいんですが、この響シナリオからは、何と言うか光るものを感じました。この作者さんが、緻密なシナリオメイキングを覚えれば、かなりの物語を書けるんじゃないでしょうか?

ただ、結構ボリュームがある零シナリオと比べると、響シナリオは快速でぶっ飛ばす展開なので、もうちょっとじっくり語って欲しかった気がしますね。そうすればきっと、もっと魅力的な物語になったと思います。作者さん的にはおまけシナリオみたいな位置づけなのかも知れませんが、おまけで済ますにはもったいない内容ですし。

難点をいくつか。まずは、ゲームが始まるまで時間かかりすぎです。アイキャッチ風のロゴもクリックで飛ばせませんし、タイトル画面もゆっくりゆっくりフェードインしてきて、更に「はじめから」などのボタンもゆっくりフェードイン。完全に表示されるまで選択できません。これはかなりのストレスになります。ここは何とかして欲しかったところ。また、このゲームにはオープニングムービーがあります。それ自体は結構なんですが、画質が非常に粗いのが気になりますね。スキップができないのも、ちょっと辛いです。

後は巨大な容量ですね。内容云々はともかく、容量とボリュームがちょっと比例してない感じなんです。もうちょっとコンパクトになれば、もっと気軽にプレイできる作品になると思うんですが。

容量も大きく、万人にお勧めはし難いんですが、一点光るものを持ったこう言う作品は、結構好きだったりします。プレイされる方は、是非1回で終わらず、2度目のプレイをどうぞ。

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