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夏休みin宿題

【夏休みin宿題】 ■制作者/インコ(ダウンロード
■容量/877KB

主人公の小学5年生亀山昇。ごろごろと夏休みを過ごしていたが、8月31日になってから、夏休みの宿題を全くやっていない事に気が付いた(もっと早く気付けよ……)。残された時間はわずか。彼の夏休み最大の戦いが、今始まる。15分で読める、脱力系ノベル。

ここが○

ここが×

■夏休み最終日、それは戦い

作者さんの名前でお気づきの方もいらっしゃるかも知れません。「フリーソフト制作過程」の作者さんの新作です。前作は、すっとぼけたテキストと凝った演出のずれっぷりが笑いを誘っていましたが、今作でも、テキストのとぼけた味わいは健在です。物語は、夏休みの最終日の朝から始まります。「夏色のコントラスト」をご紹介したばかりですが、また夏の物語ですね。とは言え、あの作品と今作では、目指す方向性がバレーボールと段ボールくらい違いますが(全く共通点ないし)。

物語は、夏休みの宿題を全然やらずに夏休み最終日を迎えた少年が、あの手この手を使って何とか宿題を終わらせようとする、言ってみればそれだけです。そしてこの作品は、15分ほどで読む事ができます。ノベルゲームとしては珍しいのですが、文章は主人公の昇の台詞の他に、ナレーターの解説が入ります。このナレーターの解説(というかツッコミ?)が、すっとぼけた味わいを更に強調していますね。また、時々入る「ごーん」という寺の鐘のようなSEが、私の「ツボ」に入ってしまい、かなり爆笑しました。

もっとも、物語としての内容は、ほとんどないに等しく、読んで何らか心に残るとか、そういうタイプの作品ではありません。まあ「フリーソフト制作過程」もそんな感じでしたし、一発芸とかショートコントを楽しむノリでプレイされる方がいいと思います。私は、こういう馬鹿馬鹿しいノリは結構好きです。

個人的には、主人公が何も考えずにただひたすら「後回し」にしていく辺りは、かなり笑えました。「フリーソフト制作過程」も「噛み合わずに空回りを続ける様を楽しむ」作品だったように思いますが、この「空回り感」が、この作者さんの味なのかも知れません。あちらでは友人がツッコミ役でしたが、今作はプレイヤーが自らツッコミを入れる、と。空回りする主人公を見て、「おいおい」とツッコミを入れる、そんなところを楽しむ作品だと思います。欲を言えば、「フリーソフト制作過程」のような、エフェクトとの複合攻撃が見てみたかった気がしますね。今作はそういうところは実にシンプルですので。

これはどうでも良い事なんですが、「夏休みin宿題」だと「宿題の夏休み」になってしまうのでは。「宿題in夏休み」じゃないと意味が通らないんじゃないかと、ちょっと思いました。しかし、もしかしたらタイトルすらも狙っているのでは、なんて深読みをさせられてしまうのは、この作者さんの作風が成せるわざでしょうか(「夏休みin宿題」だと、宿題の中に夏休みがある訳で、そう考えると、もしかして案外深いタイトルなのかも)。

それにしても驚いたのは、877KBという容量です。容量の半分が音声ファイルとか画像ファイルという作品は珍しくありませんが、容量の半分がNScripter本体という作品は初めてです(笑)。ADSLなら一瞬でダウンロード終了。これを超える小さな容量の作品は、まず現れないのではないかと言っても良いほどです。200MB超えも珍しくなくなったフリーノベルゲーム界ですが、やはり容量は大きいよりは小さい方が良いに決まってますから。

ツールはNScripter。プレイ時間は15分です。音楽もおなじみの素材。ただ、これはMIDIデータの設定に問題があるんでしょうけど、一度読み終わって再プレイすると、BGMの音色がおかしくなってしまうのはちょっと気になりました。独特の「空回り感」と、思わず脱力するオチを楽しんでみてください。

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