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I'm~心の向こう側に

【I'm】 準推薦
■製作者/Tea Room(ダウンロード
■容量/112MB

「おい、起きろ」。授業中居眠りをしていた三島正之の頭の中に、突如声が響く。頭の中に響く声との奇妙な同居生活。そして出逢う人々。自分にとって大切なものは何か……。非常にクオリティの高いマルチシナリオの感動系ノベル。

ここが○

ここが×

■100メガショック!

凄いです。112MBです。11.2MBじゃありません。登場する全てのキャラがフルボイスだった「夢の少女」よりも更に巨大です。この作品は声が入っている訳ではないので、恐らくはこの容量は「絵」によるものでしょうが……。それにしてもフリーウェアで100メガオーバーとは恐れ入ります。

この作品、公開されるや否や大評判を取っているようです。実際、本来は有料配布の同人ソフトとして作られていたらしく、その完成度はさすがと唸らされるものがあります。大容量をつぎ込んだグラフィックスは美しく、3人のヒロインのマルチシナリオもボリュームたっぷり。音楽もよく出来てますし、「市販作品並み」と言う評価が出て来ているのも納得の出来映えです。

が、「市販作品並み」という事は、この手の市販ノベルの持っている欠点も併せ持っている訳で…。あちこちで絶賛されている本作ですが、どうにも個人的には「手放しで絶賛」とまでは行きませんでした。まずは「序盤はひたすらかったるい日常場面」。過去にもそう言う作品は紹介しましたが、この「I'm」の序盤のかったるさは歴代でも随一。正直、何度も挫折しそうになりました。しかも、開始早々いきなり頭の中に声が響くという大きなイベントが起こるため、その後「延々と何も起こらない」と感じる度合いが更に強いです。

更に、常識では考えられない特徴を持ったキャラクター。「人から借りた物は必ず壊す」「弁当におはぎやらお饅頭を持ってくる」などなど……。「その特徴は本当に必要なのか?」とツッコミを入れたくなります。このあたりのヲタク感漂う設定には、私はちょっとうーんな感じでした。

その2点さえ乗り越えられれば、特に後半は、フリーでプレイさせてもらえるのが申し訳ないくらいのクオリティです。さくら編後半に感動した人が続出のようですが、なるほどと頷けます。ただ、さくら編の前半は…さくらが主人公にひかれる理由がまるで見えてこないのが辛いです。それでいて超甘口なラブコメ展開には、正直途中でお腹いっぱいになりました。さくらが主人公にひかれていく過程を、説得力のあるイベントで描写できれば、もっと素晴らしいものになったのではと惜しまれます。

もう1点、柚香シナリオの中盤で「こいつのそばに俺がいてはいけない」と、主人公が勝手に自己完結しますが(そしてこの展開は「Silence」と同じ)、ここはちょっと眉をひそめてしまいました。同じ展開でも、実の妹に対してだったSilenceの場合はまだ説得力がありましたが、幼なじみに対してではこの展開には正直感情移入できません。読んでてちょっといらいらさせられてしまいました。

世評の高い作品のため少々辛口になりましたが、容量の大きさに見合った力作です。KanonとかOneあたりに感動したと言うかたなら、間違いなくかなりの威力を持った「泣きゲー」になるはずだからぜひプレイしてみてください。

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