恋はある朝、悪魔ちゃんが！
■制作者／プラトニックF.F（ダウンロード）
■容量／85.9MB
彼女もおらず、「社畜」の主人公。今年のクリスマスも１人で過ごす羽目になると思いきや、クリスマスイブの朝にマリアと名乗る悪魔が現れた。マリアは主人公に、素敵な女性との出会いをプレゼントをしてくれると言う。半信半疑で街に出る主人公だったが。男心を粉々に粉砕する（笑）短編恋愛ノベル。
ここが○
- 魅力的なフルボイスのキャラクター。
- アクセサリーや表情、ポーズなど、可愛らしい立ち絵。
- クリスマスに１人でも怖くないや、と思える内容（笑）。
ここが×
- なんだか夢も希望もない気がする終わり方。
- 絶妙に男心を粉砕してくれるヒロイン達。
- 耀子ルートの終わり方は、ちょっと安直かも。
■とってもビターなクリスマス
クリスマスをテーマにした恋愛ノベルは結構ありますが、これは異色作です。出だしこそ、マリア・アドキンズと名乗る悪魔が、素敵な女性との出会いをプレゼントしてくれるという、よくあるボーイミーツガールタイプに見えますが……まあ短い作品なので、プレイしてみてください。男心を粉砕してくれる事、間違いなしです（笑）。
主人公は、マリアに言われるまま街に出て、そこで色々な女性と出会います。ヒロインは、初恋の相手あり、中学校まで学校が同じだった幼馴染みあり、職場の上司ありと、バラエティに富んでいます。この作品はフルボイスなんですが、このフルボイスも、結構キャラクターのイメージにあっていて、雰囲気を高めてくれます。ボイスが入っていた方がないよりいいという作品は、そうはありませんが、この作品に関しては入っていて正解だったと思います。このフルボイスのお陰で、各ヒロインのラストで、より読者は大きなダメージを負います（笑）。
この作品の立ち絵は、技術的にすごく巧みというタイプの絵ではありませんが、さりげないポーズとか表情、それに服装とかアクセサリーの描写が可愛く、絵としてとても魅力的です。マンガ的と言いますか、テクより「絵が訴える力」で見せてくれるという感じです。１枚絵は多くないですが、これも表情がよく出来ていて、男心を惑わします（笑）。
さて、冒頭で書きました通り、この作品は男性がプレイすると、男心を粉々にされる事間違いなしです。キャラクター描写がよく出来ていまして、ヒロインが言動で実にそれっぽく主人公を惑わしてくれるので、その後に来るオチとの落差で叩きのめされる羽目に。ハッピーエンドは１つもありません。一応、ハッピーエンドと銘打たれたエンディングもありますが、全然ハッピーではありません（汗）。結奈のオチもかなり痛いですが、小鳥のオチはもっとアレです。
その代わり、「あーあ、今年のクリスマスもⅠ人かあ」な人がプレイすれば、ある意味で慰められる事間違いなしかも知れません（本当かよ）。いや、「俺ってゲームの中でもこんなオチか」と、果てしなく落ち込む羽目になっても、当方は一切責任を持てませんが。
これ、女性作者さんが書かれたんじゃないかと思って作者さんのサイトを見てみたら、どうやらやはり女性の作者さんのようです。男性作者さんがシナリオを書いてたら、ここまで男心を砕かれる物語にはならなかったと思います。男性作者さんだったら、絶対もっと「男の夢」を反映したようなシナリオになると思いますので。そういう意味では、さすが女性作者さんらしいリアリティだなと思わされました。相葉耀子ルートの終わり方は、ちょいと安直な気もしましたが、耀子というキャラクターの性格が、またいい感じに主人公を痛めつけてくれます（笑）。
とは言え、１つくらいは何か救いがある終わり方があっても良かったような気がします。一応、クリア後にはおまけが見られまして、本編でもあったイベントと絡めて、ちょっとしたおまけストーリーが読めまして、そこがちょっとだけ救いがあると言えなくもないんですが、まあしかし作者さん自らジャンルを「クズゲス鑑賞ゲー」と銘打っていますから、この作品はそういうものだ、と割り切るのが良さそうです。
しかし、テンポがよく洒落た会話と可愛い立ち絵で、アレなオチにも関わらず楽しめる作品となっています。ツールは吉里吉里。エンディングは５種類で、プレイ時間は全部読んでも30分前後ではないでしょうか。クリスマスをぼっちで過ごした男性の皆さん、この作品をプレイして、ゲームの中でも叩きのめされてみませんか？（笑）