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もよりの駅子さん

もよりの駅子さん 準推薦
■制作者/信太派制作委員会(ダウンロード
■容量/266MB

新藤進は、ろくに大学にも行かず、妄想ばかりしている駄目学生。ある日、進の元に差出人不明の小包でゲームソフトが届く。いぶかしく思いながらもそのゲームを起動すると、進は意識を失ってしまい、目を覚ますとそこはゲームの中の世界だった! ゲーム内ゲームの謎を解く恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■今日こそ言えそうLove me please

作品の中に別の作品が登場するのを「劇中劇」と言いますが、ノベルゲームではなかなか見られない手法です。そしてこの作品は、ゲームの中にゲームが登場する「ゲーム内ゲーム」とでも表現できそうな内容。「いまじんすらっぷ!」がそんな感じでした。ただあちらはゲーム内ゲームはストーリーとは何の関連もなかったですが、こちらはゲーム内ゲームが物語に大きく関わるという、なかなかの意欲作です。

出だしから、主人公の駄目人間ぶりが全開です。人によってはさーっとひいて、そのままウィンドウを閉じてしまうかも知れませんが(笑)、そこを我慢して読み進めてみてください。すぐにゲーム内ゲームの世界へ突入して行きます。展開のテンポは早いので、そういう意味ではプレイしやすいと思います。主人公が駄目人間というのは、この作品の大事な要素の1つですので、そこは諦めましょう(笑)。

もよりの駅子さんゲーム内ゲームの世界は、典型的なギャルゲーです。ヒロインは合計4人登場しますが、全員主人公に好意を持っているという設定(笑)。なので、ゲーム内ゲームを物語として見ると、ちょっと面白みに欠けるところは否定できません。この作品は、ゲーム内ゲームの謎を解くのが目的ではありますが、ゲーム内ゲームにもちょっと捻りを入れてみれば、より魅力的になったんじゃないかと思います。ゲーム内ゲームのままエンディングを迎える場合もある訳ですし。

この作品はマルチシナリオで、各ヒロインのエンディングがあるんですが、いわゆるヒロイン別シナリオ分岐ノベルとは印象が違い、分岐の後の展開は大変あっさりです。その代わり、複数回のプレイで新しい選択肢や新しいキャラクターが現われ、新展開を見せるという作り。合わせて物語の全貌がだんだん明らかになっていきます。凝った仕掛けです。

4人のヒロインは、ステロタイプと言えばそれまでなのですが、個性的で面白く、ゲーム内とゲーム外の関係が微妙にリンクしていたりしているのが目をひきます。私はメインヒロインが、ちょっとずれてるけど人間っぽくて好きですが(やってる事は完全にストーカーだけど、ある意味主人公にはぴったりの女性なのでは(笑))、歌音が可愛らしいですね。歌音が不憫だから、現実世界のもみじを何とかしてくれ、と思ってしまいました(笑)。

後半の展開は唐突と言えば唐突なのですが、上にも書いたように、複数回のプレイで、最初はゲーム内ゲームのキャラのエンディングで油断させておいて、徐々に真実を見せて行くという仕掛けの良さもあって、それほど展開の唐突さは気になりません。ただ、あのキャラの登場だけはどう見ても唐突だし、更にあのキャラが実は主人公を……というのも、何か前半からそれと分かる伏線があればな、と思いました。同じ大学なんだし、張り様は色々あったのでは。

意味不明なタイトルの理由は、プレイ中に分かります。ともすればヤンデレ的エンドに発展しそうな展開なんですが、ハッピーエンドは、駄目人間だった主人公も変化の兆しを見せていますし、ヒロインも一途でとてもいい感じの終わり方です。変に刺激を狙った終わり方にするより、私はこういう丸く治まる終わり方が好きです。主人公もヒロインも幸せになって終わるので、読後感はとても良好です。

複数回のエンドを見ないといけないのにエンドロールを飛ばせないのが、ちょっと困りものなのですが(【2014.5.11追記】最新版では飛ばせるようになっています)、全体的には独自の仕掛けを盛り込まれた意欲作で、その意欲に敬意を表して準推薦です。ツールは吉里吉里で、プレイ時間は2時間くらい。エンディング数は6つです。イロモノ風の外見ですが、しっかり作り込まれた意外と正統派の分岐ノベルですので、分岐ものがお好きな方なら楽しめると思いますよ。

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