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DANA GARDEN

DANA GARDEN ■制作者/HIJIKI(ダウンロード
■容量/29.5MB

神庭読は箱居町に引っ越してきた高校2年生で、今日が転校初日。初日から、次々と4人の少女と出会った読。彼女たちと交流を深めて行く中で、彼女達にいろいろな秘密があるらしい事を知る。そして毎朝出会う謎の少女、メルの正体は? お手軽だが意外な結末の学園マルチエンド恋愛ノベル。

ここが○

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■3人分の奇跡をその手に

ここのところペースが落ちていますが、久々の作品紹介。新しい町に転校して来た主人公が4人のヒロインと次々出会うという、まあよくある展開で始まる物語です。ただ、ヒロインが引っ越してくるのではなく、主人公が引っ越して行くというのは、ありそうで案外ないですね。今年ご紹介した中では「クロワール」が同じパターンですね。その他「安らぎは彼方へ」とか「津軽雪月花」も似た感じではあります。

主人公はいきなり、銀髪のメルという少女と出会います。この少女は物語の重要な鍵を握るんですが、最後まで正体は分かりません。が、その正体に対する伏線が全くと言っていいほど張られていないので、最後のシナリオでは展開の唐突さに、ちょっと面食らいます。この辺り、前半(3人のヒロインのシナリオ)で何らかのフォローがあっても良かった気がします。

DANA GARDENメインのヒロインは3人で、スポーツ万能の委員長タイプ作楽(さくら)、おっとりとした園芸少女の夕凪(ゆうな)、人見知りが激しいツインテールの後輩真音(まいん)の3人。バラエティに富んでいてなかなか楽しいです。ただし見れば分かる通り、名前が読みにくくて最初は面食らいます。ま、終わる頃には覚えていますが、「みんながみんな読みにくい名前」というのは、あまりプラスにならないように感じます。

この3人のシナリオは、それぞれがお約束と言えばお約束と言える、ノベルゲームでは使い古された感のあるネタです。作楽ルートは「え!? 何の説明もなくいきなりその展開ですか?」とびっくりしてしまいましたが(笑)、展開のテンポとかバランスの良さ自体は良好なので、サクサク読めてストレスはありません。これは他の2人のシナリオも同様で、王道ネタですがテンポよく楽しめます。

ただ気になるのは、主人公以外は3人のヒロイン+メルのみしかほとんど出て来ず、男性の友人キャラクターも全く登場しません。そのためキャラクターバランスが悪く感じたのと、シナリオに厚みというか、奥行きのようなものをちょっと欠く印象は否めません。まあだからこそ、独特のテンポの良さがあるとも言えるかもしれませんけど。

そして3人のルートを読了すると、メインとも言えるメルルートを選択できるようになります。ここでメルの謎が明らかになる……のですが、上で書いた通り、先に読める3人のルートで、別にメルの謎が提示される訳でもなく、それとなく伏線が張られている訳でもなく、「ただ何となく正体不明の少女っぽい」くらいの扱いで終わっている上、メルルート自体も結構駆け足気味に進んでしまうので、プレイヤーとしては少々置いて行かれる感もあります。メルの境遇みたいなものも、いきなり出て来ますし。

そのメルルートで明かされる真実はと言えば……ネタバレになるので書けませんが、既存の作品で言えばアレとコレを足して2で割ったような感じ(全然分からんわ!(笑))。トゥルールートも合わせて4回プレイする作品で、1回は30分かからないくらいの短編とすれば、このトゥルールートは意欲的な試みではあるんですが、もう少し細部を丁寧に詰めていけば(これは他のヒロインのルートでも同様に感じる)、凄く「化けた」作品になったんじゃないかなと、ちょっと惜しまれます。終わり方もちょっと腑に落ちないところがありますし。せめてラストでもうちょっと先まで語って、主人公に何らかの救いがあるようにするだけでも、読後感がかなり違ったのではないでしょうか。

しかし、深い事を考えず、短編マルチエンド恋愛ノベルとしてだけ見ても、気軽に楽しめる作品です。ツールはLive Makerでプレイ時間は全部読んでも1時間半というところ。選択肢の難易度も高くはありません。制服のデザインが一昔前のファミレスっぽいのが何ですが(笑)、サクッと読めるマルチエンド恋愛ものというのも貴重ですから、王道恋愛ものがお好きなら、プレイしてみてください。

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