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ほたこい

【ほたこい】 ■制作者/夢こえ工房(ダウンロード
■容量/28.7MB

東京の大学生石和海路は、夏休みに大学の鉄道研究会の合宿で、故郷である長野県穂高町へやって来た。そこで出会う、中学生の頃のクラスメイトの女の子2人。穂高町の実写背景をふんだんに使用した、ライト感覚の地域振興型ラブコメノベル。

ここが○

ここが×

■地域振興ノベル~ようこそ穂高へ

ノベルゲームなどにおいて、舞台に実在の地名が使われる事はまずありません。私が取り上げた作品の中では「ハーバーランドでつかまえて」「Homeless, the Vagabond」「星の降る丘」くらいでしょうか。みんな「茜町」「谷川市」「美星島」「打追町」「利華根沢」等々、架空の地名を使っています。そんな中、あえて徹底的に実在する地名にこだわったラブコメノベルのご紹介です。

この作品の舞台は、長野県穂高町。「ほたこい」というタイトルは「穂高恋物語」の略称のようです。穂高町はわさびで有名な水の綺麗な町だそうです(私も行った事ない)。背景は全て作者さんが実際に撮られたものなのでしょうか、本物の穂高の写真が使われています。そして、作中ではふんだんに穂高の観光案内が行われ、プレイすると穂高町にちょっと詳しくなれます。穂高の名物「わさび」を、うまくエピソードに取り入れたりしているのはなかなか上手いなと思わされました。しかし「わさびソフトクリーム」って、すごく食べてみたい気がします。

シナリオ的には、穂高で中学時代のクラスメイトの女の子2人と出会い、そのどちらかとの恋物語と言う事になります。それほど突っ込んだ恋愛描写がある訳ではありませんが、40分程度というプレイ時間を考えれば、まずまず整った内容なんじゃないかと思います。2人のヒロインは性格も対照的で、ちょっと突飛な設定の主人公(ミリタリーマニアで鉄道オタクの主人公ってのはどうなんだ)との3人のやり取りは、結構楽しめます。

が、文体がちょっといただけない感じです。顔文字とか「(笑)」とかを頻繁に使うのは、ノベルゲームではやっぱりやめといた方がいいんじゃないかと。そう言うのは、あくまで電子掲示板等、リアルタイムのコミュニケーションで、文字だけでは伝わらないニュアンスを補う存在ですから、「文章を読ませる」のが目的のノベルゲームでそれらに頼るのは邪道という気がします。やはり、そういうものは使わずにキャラの描写等で読ませて欲しいものです。

あと……絵はちょっと微妙かな、と。背景画像が穂高町の綺麗な写真なんだから、いっその事立ち絵や1枚絵はなしでも、十分雰囲気出たんじゃないかなあと言う気がします。まあ一生懸命描いているのが伝わって来て、慣れれば「これはこれでいっか」と思ってしまいましたが。あと、作品内で鉄道オタクの事を「てっちゃん」と書いてますが、これは説明がないと普通の人には分からないんじゃないかなと思います(苦笑)。

とまあ、ツッコミどころも多いと言えば多いんですが、軽く楽しめるラブコメノベルです。ちょっと奇抜な設定の主人公や独特の文体が気にならなければ、結構楽しめると思います。少なくとも、「穂高町ってどんな所だろ。いっぺん行ってみたいな」と私は思いました。これだけで、この作品はある意味「勝ち」と言えるのではないでしょうか(勝ち負けの話をしてどうする)。次回作もこう言った感じのものになる模様。今度はどこの町が舞台になるのか、次回作が少し楽しみです。

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