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ぼくとかのじょ

【ぼくとかのじょ】 ■制作者/Solidas(ダウンロード
■容量/5.98MB

高校3年生の佐伯博通は、受験勉強の為に図書館へとやって来ていた。そこである少女と相席になる。彼女が、やたらとちらちら自分の事を見るのが気になって仕方がない。彼女は一体? 丁寧な文章で綴られた、短編マルチエンドノベルゲーム。

ここが○

ここが×

■振り向けば夏のミラージュ

どうも、女性作者さんの作られた作品となると、どうしても身構えてしまいます。Vectorでも「BL」「女性向け」と書いてたら、ほぼ無条件でスルーしますから(爆。いえ、それくらい「BL」というのは通常の男性では考えられない感覚なのです)。ですが、丁寧に作られた女性作者さんの作品には、男性作者さんの作品からは得られない良さがあります。「勿忘草の夜」「地上の天使~瞬きの詩」は女性作者さんの良さが出ていると思いますし、確か「奇跡の外科医に」の作者さんは女性の方じゃなかったでしょうか。今作も、女性らしいセンスが随所に見られる作品となっています。

まず今作で目を惹くのは、起動してすぐ現れる綺麗なタイトル画面。また、ゲームを開始しても立ち絵や背景など、グラフィックスはとても良い仕事をしています。ただ、女性らしい絵柄なので、この立ち絵は好き嫌いが分かれるかも知れませんね。私自身はとても好きな絵柄なんですけどね。文章は、変に言い回しを捻りすぎたりしておらず、こちらもとても丁寧で読み易いです。ライトノベルとか18禁ゲームに悪影響を受けたような文章の作品も多い中、非常に好感が持てます。

内容はと言いますと、上でも書いた通り、図書館で出会った少女の謎(という程大層なものでもないですが)を中心に話が進みます。ただ、選択肢はたったの2つで、最初の選択肢を間違えたらあっという間に終わります(爆)。まあ、攻略が簡単という表現も出来ますが、もう少し複雑でも良かったのでは(苦笑)。「マルチエンド」と書きましたが、派手な分岐を期待するのはやめましょう(笑)。

で、もう1つの選択肢でお話が2つに分岐するんですが、タイトルにもなっている「ぼくのかのじょ」エンドは、かなりあっさりめで、もうちょっとラストの展開に一ひねり欲しかったですね。正直、本当に「さあこれから」というところで終わってしまいますので。その意味では「なつのまぼろし」エンドの方が、ある意味メインシナリオと言えるのかも知れません。このシナリオが、内容的には一番充実していたように思います。読後感はちょっと切ないんですけどね。

大げさな展開とか、シナリオ自体の面白さを期待すると、多分肩すかしを食うと思うんですが、容量もコンパクトですし、そこまで求めるのは酷というものです。むしろ、いかにも個人制作らしい良さが出ている作品で、ちょっとの合間に気軽に楽しめると思います。

どうも最近(私はプレイしてませんが)某有名作の影響か、シナリオが何百KBとか、文字数が何十万文字とか、そう言う「長い事は良い事だ」みたいな風潮もありますが、こう言うこぢんまりとした佳作こそ、フリーウェアのノベルゲームの魅力だと思います。日曜の昼下がり、紅茶でも片手に読んでみてください。クリア後はおまけもありますよ。休日の午後にふさわしい有意義な一時を過ごせるはずです。

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