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ぼたんゆき

【ぼたんゆき】 準推薦
■制作者/Presto(公開終了)
■容量/24.5MB

高校2年生の主人公浅谷彰。3年前の梅雨のある日に知り合った1人の少女。束の間の楽しい一時は、わずか1週間の後に悲しい別れで幕を閉じる。そして彰はある時、学校の屋上にたたずんでいた少女を見て目を疑った。冬の日の出会いと別れ。美しい音楽で送る感動系の恋愛ノベル。

ここが○

ここが×

■雪は温かく溶けて行く

続けて「ぼたんゆき」のご紹介。準推薦にさせていただきます。準推薦は久々ですね。それにしても、このゲームの主人公は高校生なんだが、この手のゲームに出てくる高校生って授業さぼりすぎ&授業中眠りすぎだと思うんですが。今の高校生ってみんなあんなもんなの? まあ高校生の皆さんは、サボリと居眠りは、将来困らない程度にしてください(笑)。

さて、上の出だしの紹介で、「これ、いいんじゃない?」と思った方や「Sake of you」とか「Silence」がお好きな方は、多分間違いなくハマれると思います。分類すればいわゆる「感動系」(そんな分類法があるのかは知りませんが)。プレイ時間は1時間半くらい。一応マルチエンドですが、選択肢は最後の最後にちょこっとあるだけ。前半にももうちょっと選択肢が……って、前にも同じような事書いたような気がするんですが(苦笑)。

絵は、まあ可もなく不可もないと言ったところ。ただ、キャラの表情は豊かで見ていて飽きないし、キャラの魅力作りに一役買っていると思います。BGMはMP3(だと思う)ですが、なかなかレベルが高いです。どの曲も満遍なく出来が良く、ゲームの雰囲気を盛り上げています。文章も、ところどころ捻りすぎなところが鼻につきますが、葉鍵系の電波飛ばしまくり文よりははるかに良いでしょう。文章力も高い部類に入ると思います。ボリュームも適度でバランスも良好。良作と言って良い1本だと思います。

シナリオは、爽やかなお話では決してありません。だが、とても良い話です。上でSake of youとSilenceを引き合いに出したが、シナリオの出来、物語としての完成度は、今まで「準推薦」をつけた作品の中でもこの作品が一番かも知れません。人によってはかなりの「泣きゲー」になるのではないでしょうか。

が、残念ながら私にとって致命的な欠点がこの作品には存在します。それは、「途中で容易にオチが読めてしまった」のです。ラストが、あまりに思った通りの展開で、ちょっと興ざめしてしましました(ただ、3年前の事件の真相には驚いたというか……ちょっと悲しすぎ)。ていうか、これは普通に誰でもオチが読めると思います。良い話なだけに、この点だけは非常に惜しまれます。伏線の張り方をもっと巧妙にやって欲しかったように思います。特にメロンパンの話は完全に蛇足のような……。あとは、せっかく良い話作ったのだから、エンディングにはもうちょっと凝って欲しかったですね。ラストが「ああやっぱり」ではなく、あそこで驚くことのできる演出をもっとしていれば、そして前半に選択肢がもっとあれば、ためらわずに「推薦」つけたんですが……。

そして、タイトルにもっと華というか必然性があればな、と。正直「ぼたんゆき」である必然性がなく、「粉雪」でも「雪景色」でも一向に差し支えないですし。途中で出てくる星のペンダントとかチョーカーに関連したタイトルをつければ、ラストももっと綺麗に決まったんじゃないかな、と思いました。

と、残念な点もあるんですが、感動系ノベルをお求めの方なら、これはぜひやっていただきたいです。「ぼたんゆき」という冷えそうなタイトルに似合わず、心の暖まる作品。多分途中でオチは読めると思いますが、そんな無粋な事をせずに素直に読む方が、有意義な一時を過ごせるはず。

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