Welcome to NaGISA net

▲PREV ▼NEXT

時の故郷

【時の故郷】 準推薦
■制作者/Pleiades Company(ダウンロード
■容量/5.6MB

亡き祖母の家の掃除のため、6年ぶりに訪れた田舎で再会した、想い出の少女ゆり子。美しい少女に成長した彼女にまつわる謎とは……。見た目からは想像もつかない程の本格的な謎解きを求められる、名作アドベンチャー。

ここが○

ここが×

■時は今も巡りて、忘れ難き故郷

ここのところ「ひとかた」「TRUE REMEMBRANCE」「終末によせて」等々、散々他所で既出の有名作品ばかりレビューしてますが、記念すべき?50回目も有名作。ブラウザー使用の名作謎解きアドベンチャー、「時の故郷」がついに(というかようやく)登場です。以前にも取り上げようと思った事があるんですが、その時は謎解きで挫折しましたんで(爆)。

さて「時の故郷」。見た目はいかにもギャルゲー風味(主人公の言動もギャルゲー感満点)なんですが、その実態は結構歯応えがある謎解きアドベンチャーになっています。主人公の志度聡志が田舎の実家で過ごす4日間を描いているんですが、何も考えずにちんたらやってると、全く訳が分からないままに終わってしまい、「なんじゃこりゃ?」となる事必至です。

しかし、ヒロインのゆり子が非常に魅力的で、かつ「その手の恋愛もの」が好きな人のツボをついた要素がてんこ盛り。「夏の田舎で、美しく成長した初恋相手の幼なじみと再会」。これだけで萌える人はきっとたくさんいるでしょう。私もそうでした(笑)。なので、彼女のために何とかしてハッピーエンドにたどり着きたくなります。

本作は歯応えのある謎解きアドベンチャーですが、しかし理不尽な高難易度という訳では決してなく、何度か挑戦していると、少しずつ謎の片鱗が見えてきます。それと同時にどこでどう行動すれば良いかも少しずつ明らかになって行きます。その、絡まった糸が微妙にほぐれて行く様子が非常によく出来ており、謎解きの醍醐味を満喫できる名作です。

最終章は時間制限との戦いにもなるんですが、ここでも何も考えない適当プレイは許されず、しっかりと計画を立てて動かないといけません。バッドエンドが悲しすぎるだけに、ハッピーエンドは本当に心から救われた気がしました。クリアして「時の故郷」という言葉の持つ意味に、なるほどと唸らされました。

シナリオ自体はよくある話と言いますか……それほど捻った作りをしている訳ではありません。ゆり子自身に関わる謎は、割と簡単に想像できるかも知れません。そして謎の解決に至るポイントについては、その前提の説明がないためちょっと唐突にも感じてしまいました。その辺りに突っ込めばきりがないんですが、まあこのゲームにおける謎(時のなんとかに関わるところ)は、「これはそういうものだ」と納得してしまうしかないでしょうね。

キャラの立ち絵はどうやら素材を利用しているみたいなんですが、結構贅沢にイベント1枚絵なんかも入っていて、グラフィックス周りは豪華です。上の画面写真にもある、麦わら帽子のゆり子は、「時の故郷」を象徴する1枚ですね。音楽も素材ですが、良い曲を選んでます。

システムについては……ブラウザーでプレイということで、多分FlashとJavaScriptで作られているんでしょうけど、セーブやコンフィグ、そしてスキップ(既読スキップではなく、次の選択肢まで一気に飛ばす)や読み返しなど、非常に丁寧に作られています。不満を感じるところはないでしょう。それでも、やはりNScripterや吉里吉里などのツールと比べてしまうと……。まあこれはしょうがない事でしょうね。それでもブラウザーゲームとして非常に高水準だと思います。

文章は全般的に良くできていまして、ゆり子と聡志の日常シーンなども微笑ましく、読んでいて楽しいです。そのせいか、ゆり子との邂逅ばかりにふけってしまい、バッドエンド直行、なんて事もしばしばでしたが(笑)。ただ、主人公の言動が変な1人ボケツッコミが多いのは少し気になりました。ま、葉鍵系ほど電波出しちゃってる訳ではなく、普通の青年なんで、しばらくしたら慣れてしまいましたが。

「ストーリー性がある謎解きゲームがやってみたい」という方、あるいは「謎解き要素がある恋愛萌え系ノベルがしたい」という方。どちらにもお勧めできる良作。容量も比較的コンパクト。是非どうぞ。

▲PREV ▼NEXT



(c) NaGISA net All rights reserved.
inserted by FC2 system